第一部 最終話     存在を嘲る者 ピチュー「はぁっ・・・はぁっ・・・」 リンク「倒・・・・・した・・・。」 まさか、ウォッチが。 僕達の結成者だったなんて・・・・ そして、この事件に狂い・・・襲い掛かってくるなんて・・・ それで、ゼルダまでが犠牲に・・・。 サムス「生き残ったのは、・・・・六人・・・ね」 ポポ「っ・・・・・。」 ナナ「う、・・・・く・・・・・っ」 ピチュー「みんな・・・どうして・・・・」 三人の子供達は、目を背けたくなる現実に心を打ち砕かれた様な感覚を覚えていた。 子供達だけでない。時の勇者も、賞金稼ぎも、暗黒の魔王も・・・深い悲しみを感じていた・・・ ガノンドロフ「・・・・・・・・・戻るぞ、競技場に」 重たい一言が空間に響く。 その言葉に誰も反応はしなかった。 ただただ、全員がうつむいていた。 静寂が辺りを支配する・・・足元から、かすかな音が聞こえる。 誰かの涙でも落ちたのだろうか。しかし、顔を上げて確認しようとする者は居ない。 リンク「・・・・・・くそ     ちくしょうっ・・・・・     皆さん・・・姫・・・・くそ、くそっ!!」 サムス「リンク・・・・」 静寂の中、肩を震わせながら、リンクが叫んだ。 傍らのサムスが手をさし伸ばし、崩れ落ちそうになるリンクを支える。 ポポ「マスターハンド・・・クレイジーハンド・・・    いくら、辛かったからって・・・いくら、嫌だったからって・・・」 ナナ「こんな事件を起こしたって、悲しみにしか・・・ならないのに・・・・っ」 「さて、どうかな・・・?我々にとっては、悲しみでもなんでもないぞ・・・・  ・・・・・・・・・スマッシュブラザーズよ・・・!!」 ガノンドロフ「ッ!?」 リンク「なっ・・・・・・!?」 空間から響いてくる、そして頭に直接伝わってくる。 つい最近に聞いたその声が、今までの恐怖を回想させ、同時に絶望で目の前を塗り潰してゆく。 全員が一斉に背後を振り向いた瞬間、視界に映った、” ソレ ”は。 ピチュー「な、何・・・あれ・・・」 ナナ「マスターハ・・・・いや・・・でも・・・!?」 メンバー全員が愕然とした。 そこに存在していたのは、巨大な金属の塊。 否、様々な機械が寄せ集められたものの塊だった。 サムス「何者・・・・っ!?」 「ククックックフフフフ。もう忘れてしまったのか。  私だよ、今まで貴様等と死闘を繰り広げてきた、マスターハンドだ・・・・!!」 機械から発せられた言葉を聞いた瞬間、ピチューとアイスクライマーがその場にへたり込む。 リンクとガノンドロフはただ呆然とし、サムスは震えながら銃をマスターハンドと名乗る機械に向ける。 「俺も、俺も居るぜぇええ・・・・くっはは・・・はっはっは!!  クレイ・・・ジー、だ。俺は・・・・クレイジーハンドだ・・・!!」 続いて頭に響いてくる第二の声。 紛れも無く、マスターハンドの実の弟・・・、クレイジーハンドの声だ。 それはマスターハンド同様に巨大な機械の塊から聞こえてきた。 ポポ「どうして・・・何でっ・・・・!」 「タネ明かしをしてやろう・・・  私達は、人間の姿からこの姿・・・いや、手袋の姿となったと言った。」 「家族を残し家を去った後、俺達はお互いに、手袋の中身はどうなっているのかと話した。  中身が無いのか、エネルギーの集合体なのか、それとも・・・。  わずかな希望と好奇心にかられ、お互いに手袋を取り合った。  ・・・・・・・希望なんか最初からありゃしなかったのさ。俺達は自身の魂を、人格を持つ機械生物だった。」 心なしかその言葉は悲しげだった。 しかし、言い返す間もなく相手は声を発する。 「・・・・先程の戦いの前に言ったな。我々が一度蘇ったのは創造と破壊の力の継承者を決めていないから、神の定めにより蘇ったと。  ・・・・・・嘘だ。 嘘に、決まっているだろう・・・あの時我々は初めから死んでいなかった。機能停止など起こしていなかった。  だが、この姿は晒したくなかった。新たなる世界の神がこんな姿だと示しがつかぬ。  だからこそ、我々は一つとなった・・・・貴様等がファルコ達と戦っている間にステージの真下にもぐりこみ・・・・、  機械同士、融合。合体。そんな言葉が相応しい・・・・そうだ、機械と機械が一つに。我々兄弟は一つに!!」 「じゃあ、あの時、マスターハンドがかなり大きくなってたのは・・・」 「そうだ、一つになり、更に巨大になった我々が一つの手袋に身を包んだから・・・だ。  しかし、我々は倒された。だが機能停止などしていない。壊れてもいない。騙したのだ。  あの時我々は至近距離の瓦礫にミサイルを創造し、発射・・・・爆煙に身をくらまし、再びステージの真下へ。」 「態勢を整える為にあの様に敗北したフリをしたが、良かったよ・・・・  あの後、テメー等の結成者様が乱入してきたようでなぁ?」 少しずつ、謎が解けてゆく。真実が見えてくる。 しかし、彼等にはまだ疑問が残っていた。 サムス「なら、何故・・・・わざわざその機械の姿で戻ってきたの? 「我々は考えを変えた。貴様等を全滅させる事が出来ないのならば、逆にその力を利用する。  お前達を操り人形にした時とは、また違うものだがな」 リンク「まさ・・・か・・・」 「そうだ・・・俺達が直に、お前等をこの身体に取り込む為にだよ、スマッシュブラザーズの力!!  そして最後の聖三角、勇気のトライフォースをなぁッ!!!」 ガチャガチャガチャッ!! ギュィイイイインンッ!! ヴヴヴヴヴヴヴヴヴッ!! ガシャンッ!! ガシャンッ!! ギギギギギギッ!! カチャ・・・カチャカチャッ! ガキンッ!! うなる様な音が辺りに響き渡り、それと共にワイヤーが、金属の腕が、 双子の成れの果ての姿のあらゆる箇所から飛び出し、メンバー達に襲い掛かってゆく・・・! サムス「っく・・・っはぁあ!!」 リンク「” 回転斬り ”ッ・・・!!」 ガノンドロフ「” 裂鬼脚 ”!!!」 ピチュー「・・・ッ” でんこうせっか ”!!」 アイスクライマー「「えええええぇぇいいッ!!」」 生き残り達の精一杯のあがき。 いや・・・悪あがき。マスターハンド達から見れば、そうなのかもしれない。 一本のワイヤーはサムスの銃から伸びた光のムチに叩き落されるが、 続いて伸びてきた何本ものワイヤーがサムスを捕らえ、機械の中へと引きずり込もうとする。 リンクのマスターソードに切り落とされてゆく機械の腕、ワイヤー・・・。 しかしリンクの胴体を背後から巨大な金属の手がわし掴みにし、サムス同様に機械の中へと引きずってゆく。 襲い来る機械の波へガノンドロフとピチューが突進してゆくが、その抵抗もむなしく二人同時に機械が覆いかぶさり、本物の波のように二人をさらってゆく。 残ったアイスクライマーの放つ吹雪も抵抗にさえならず、二人同時にワイヤーで絡められて、マスターハンド達の体内へと引きずり込まれた。 「永遠に・・・・  私達のものだ」 「創造力。破壊力。聖三角。  これで、俺達は、神だ・・・」 「「 新しい世界の、新しい神だ!!! 」」 二重の叫び声が宇宙空間に木霊した瞬間、 空間全体が緑が支配する美しい世界を映し出した。 巨大な機械生物は、植物が根を張るかのように、ゆっくりと、ゆっくりと・・・ 身体の一部一部を、終点というステージに敷き詰めていった。 そして、彼等の叫びは異次元空間を突き破り、現実の世界にも響き渡っていた。 最初に、マスターハンド達を倒した・・・いや、そう勘違いした時は夜明けだった。 今や、世界全体を照らす光は紅色。その世界で、夕暮れの空を見上げながら立ち尽くしていた一人の男が、口を開いた。 マルス「ごめん、皆。     ・・・・助太刀、行けなかった。」  皆、ごめん・・・・ 最後の最期に、裏切ってしまって。 結成者と名乗るウォッチの力を目の当たりにして・・・僕は・・・僕は・・・!! 青い髪と青いマントをはためかせる男は、鞘から剣を抜き・・・・、 自分の胸に、思い切り突き立てた。 それとほぼ同時だっただろうか。 マスターハンド、クレイジーハンドが世界全てを、破壊したのは。 彼等がこれから創るであろう、” 理想郷 ”・・・ その世界は、どのように動いていくのだろうか。 また、彼等の言う” 腐った世界 ”とは、本当に腐っていたのか・・・ だがそれは、人それぞれの考えによって変わってくる。 しかし、その腐った世界を「良い世界」だと言う者も、「嫌な世界」だと言う者も。 それら全ては、神の力に溺れた二つの存在を除いて、その世界と共に消えていった・・・。 第二部に続く───。