君に分かるはずも無いよね?


  僕の、気持ちがさ。


  自分は殺されて、弟は生き残っただなんて。


  ──許せない。


  許せない・・・許せない・・・!!


  ──違う。


  違う、これは僕の本心じゃないんだ・・・


  違う・・・違う!! 違うんだよぉ!


  だから・・・・だからぁああ!!!?


  うわぁぁぁあああぁあああああぁぁぁああああああああッ!!!!?










  第五話 それぞれの行き先
















「次は・・・貴様等の番だ、リンク・・・ピカチュウ!!」
「・・・・・分かりました」
「・・・・フフ、了解だよ・・・!」


右手袋が声高に命令を下すと、二つの影の主達から了承の言葉が返ってきた。
それを聞いた右手袋は満足げな笑い声を上げる。


「・・・目的は分かっているだろうな?」
「えぇ・・・勿論」
「奴等を、生き延びた奴等を抹殺すること・・・」
「くっくっくっ。それで良い・・・だが慎重にやれ、フォックス達の様になりたく無ければな」


青年と小動物の影。それらは微かな笑みを口元に見せ、頷いた。


「分かっていますよ・・・」
「では、失礼いたします」


その二人は、手袋の言葉を聞き届けるとその場から消えていった・・・。
それから数秒後、巨大な手袋が再び低い笑い声を上げる。


「くくっ、くっくっくっく・・・・私の忠実なる人形達よ・・・
 私に抗いし者達を、排除するのだ・・・!」


言い終えた後に、暗闇に一筋の光が流れた。








メンバー達は呆然としていた。
豪雨の中、尚も燃え続ける古小屋の残骸の前で。


ナナ「っ・・・」


不意にナナが膝から崩れ落ちた。それに続いてポポがその場にへたり込む。
引きつった顔のルイージは数歩、ふらふらと後ろへと退き、そのまま地面に座り込んだ。


ピチュー「何で・・・何でさっ・・・
     何で、ロイも、フォックスもさぁっ・・・」
ファルコ「・・・・・・・ッ」
ドンキー「・・・・・・」
クッパ「・・・・・・・。」


ピチューが目元を拭いながら嗚咽する。
ファルコは両手を握り締め、歯軋りしながら地面を睨みつける。
ドンキーはただ俯いたままで、クッパは─・・・古小屋の残骸を見つめていた。


クッパ「・・・・何故、ロイ達は我輩達に襲い掛かったのだ?」
ポポ「!・・・・・」
ナナ「・・・何で・・・・だろう・・・」


静かにクッパの口から漏れた言葉に他の者達が顔を上げる。
ファルコが苦い表情で古小屋の残骸を見やり、口を開いた。


ファルコ「・・・あいつ等は、死んだんじゃなかったのか?」
ルイージ「でも・・・僕達はあの時まだ生きていたから・・・もしかしたら・・・生きてたかもしれないし・・・
      それに・・・二人が僕達を襲った理由って・・・例えば、僕達だけが逃げ延びた事を恨みに思っての行動かもしれないし・・・」
ファルコ「いや、確かにあの時は生きていたが全員が虫の息だった。あの手袋が何かしない限り生きてるわけが無い。
     ・・・・だが、後者の、二人の行動の動機は・・・少し、信憑性がある・・・・」
ドンキー「ッ・・・・」


・・・・・・・・。


またしても静寂。
雨もいつの間にか止んでいた。


クッパ「我輩に提案がある」
ファルコ「何だ?」


静寂を破ったのはクッパだった。
彼の言う、その提案とは?誰しもがそう思い、クッパの方に視線を移す。


クッパ「その提案とは・・・
    競技場に、戻ることだ」


予想外のクッパの言葉に、周りの者達が驚きの声を上げた。


ポポ「な、・・・何で・・・?」
クッパ「今のままでは疑問が多すぎる。ならばいっその事競技場に乗り込むと言うわけだ。
    そして、もしかしたら・・・そこで何かが、分かるかもしれん・・・・。
    自殺行為だが、今の我輩達には合った作業だろう。生きる希望を失った、我輩達には・・・。」
ナナ「・・・・・なるほど」
ピチュー「・・・僕は・・・・その提案に・・・・・賛成する・・・・」
ドンキー「よし、俺も乗った。どうせここに居ても仕方ないしな」
ルイージ「ひぃ・・・そんな、僕、殺されるのは嫌だよ・・・」


ナナが頷くと共にピチューが躊躇いがちに答えると、続いてドンキーが腕を組みながら言う。
ルイージは震えている。それを見たクッパが大きく頷くと声高に言い放った。


クッパ「決まりだな」
ファルコ「まだ二人しか賛成してないぞ?怖気づいてる奴も居る」
クッパ「・・・気にするな」
ルイージ「そんなぁ・・・・」


かくして、一行は競技場へ戻ることになった。
真相を、突き止めるべく。そして、生きているのかどうか、
フォックス達の様におかしくなってしまったのかさえ分からない、仲間達に出会う為に。








その様子を、古小屋の残骸の付近に生えた草むらの間に設置された小型カメラから見る者達が居た。
・・・あらかじめ、あの二人が『任務』を遂行する前に取り付けたものだ。


「・・・おや、生き残りが移動したようですよ・・・」
「どこに向かうか分かる?」
「この方向だと・・・私達の居る所、競技場ですね」


周りには瓦礫の山。そんな部屋で二人が会話を交わす。
その正体は、巨大な右手袋と話していた、あの二人だ。


「ふふふ、自分から死にに来るなんていい度胸じゃないか。
 ねえ、リンク?」
「そうですね、ピカチュウさん・・・彼等は、罰を受けなければならない。
 あのお方に、逆らおうとしているのだから。」


リンクと、ピカチュウ。
緑の衣服を纏った青年が、手に持っていた機械を床に落とす。
機械は砕け散り、生き残った者達を映し出していた画面が真っ黒に染まる。
それはまるで、彼等、生き残った者達の持つ希望が打ち砕かれるかのようだった。


リンク「さて、そろそろ行きましょうか。競技場の入り口付近に先回りしましょう」
ピカチュウ「そうだね・・・ふふふっ、楽しみだよ・・・!」


再び会話を交わす二人。彼らの行き先は同じ場所。
これから、物語はどのような進展を見せるのだろうか・・・・・?
怒りと、悲しみと、恐怖と、絶望と、そして欲望と。
何も知らない者達が、手探りで進めていく、大量の血に塗れた・・・


──この、狂った物語は。







続く





音楽提供:タクミドットネット 






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