「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁっ・・・」


場所は、半壊した競技場の通路。
そこには、息を弾ませながら、目の前で大量の血を流しながら横たわっている二人の人間を見つめる男が居た。
・・・間違いない。二人は──、サムスとファルコンは、結成者と名乗っていたウォッチにやられたんだ。
そこまで考えて頭を強く横に振る。・・・何を怯えてるんだ!
そうやって自分自身を何度も奮い立たせてきた。今まで、ずっと。
しかし、もう限界だ。足がすくむ。ついにその場に膝から崩れ落ちると、頬を生暖かい水滴が伝う。


「情けない・・・・ここまで来て、終わりなのか・・・僕は・・・・!」
「・・・・いや、そんな事は無いさ。まだまだ終わった訳じゃないよ」
「そうそう。・・・ねえ、僕達と一緒に、みんなの助太刀に行かない?」
「・・・・・・君達、は・・・・!?」


突如語りかけてきた声に驚いて顔を上げると、そこには見慣れた二人──、もとい、二匹が立っていた。
黄色いねずみと、桃色の球体の姿が視界に飛び込んできた瞬間、先程とはまた別の涙が頬を流れた。
すくりと立ち上がり、僕は彼等の顔を見つめると、胸に手を当て決意した。


「ありがとう・・・ピカチュウ、プリン。やはり僕も君達と共に行く。みんなの元へ・・・!」
ピカチュウ「それでこそ、スマッシュブラザーズの一員だよ!」
プリン「サムス達の仇、取らないとね・・・!」





「醜く、見苦しい戦法しか取れない者・・・。私のスマッシュブラザーズにその様な者は、要らない」


光の柱が消えると同時に、血しぶきが上がった。
頭から血を噴出しながら、ファルコがその場に倒れこむ。
彼の腕の中から転がり出てきたピチューは目を覚ましたのか、後ろを振り返って絶句する。
しかし、それは他のメンバーも然り。誰もが呆然と、姿を現したその存在を見つめていた。


「やあ、皆さん。これが、最後の挨拶になる事でしょう。・・・スマッシュブラザーズ、終了のお知らせですよ」


いつの間にか、ステージの回りを包む景色は、緑の自然の広がる、美しい世界を映し出していた。
真っ黒な平面体の彼は、片言の口調ではなく、滑らかな舌の周りで、不敵に、不気味に、澄んだ声で言い放った。


ピチュー「ウォッ・・・チ!?ふぁ・・・ファルコまでっ・・・!?」
ウォッチ「ファルコの方は、既に死んでいますがね。
     さて、こちらで生き残っているのは、ピチュー、ゼルダ、ガノンドロフ、アイスクライマー、ドンキー、ルイージ。
     計、七人。うまい具合に互いを潰しあってくれた。これなら全て、楽に終わらせられますね」
ゼルダ「な・・・何を、言っているのです・・・!?」


辺りを見渡しながら、何かを思考しながらウォッチが言う。
戸惑いつつも、ゼルダが口を開くと、ウォッチは静かに笑い声を上げた。


ウォッチ「良いでしょう・・・冥土の土産に、全て教えてあげましょうか」


ぐしゃり、と尚も血の吹き出すファルコの頭を片足で踏みにじり、見下した様な口調で言う。
本当に、彼はウォッチなのだろうか──?
彼はマスターハンドの感情操作から自力で逃れた者だ。
そんな彼が、まさか再びマスターハンドの感情操作を受けていたと言うのか?
だが、それでは、『今の彼』の仲間にあたるはずであるファルコに対するあの行為は一体何だと言うのか。
自分自身でファルコを殺害し、その上、あの横たわっているファルコの死体の扱いはあまりにも酷すぎる。
誰もが必至に思考を巡らせる中、不意にウォッチは語り出した。


ウォッチ「まず、最初に。私は、スマッシュブラザーズの結成者です」
ポポ「なっ・・・!!」
ナナ「えっ・・・!?」


最初から驚きの事実が述べられ、全員が動揺した。
さして気にする様子も見せず、ウォッチが続ける。


ウォッチ「私がスマッシュブラザーズを結成した理由・・・それは、仲間欲しさ故の事だった。
     見ての通り、私は他の者とは全く違った身体をしている。
     そのせいで、私には、仲間と呼べる者が──、友と呼べる者が、居なかった」
ルイージ「ウォッチ・・・・・・・」
ドンキー「・・・・・そう、だったのか・・・」


彼の突然の告白により、哀しい空気の流れる中、不意にウォッチの足元で何かが砕ける様な音が響き渡った。
ぴしゃりと鮮血と脳しょうが飛び散り、真っ黒なウォッチの身体が不快な色に染まる。
見ればウォッチは拳を握り締めるような動作をしながら、怒りに震えていた。


ウォッチ「結成したスマッシュブラザーズは上手くいっていた。
     私自身も挑戦者と言う形でスマッシュブラザーズに入団した。
     みんな、私の異様なこの姿を見ても、仲間として、友として受け入れてくれた。
     だというのにッ!今回の事件で、私は知ってしまった!私は、騙されていたと言う事にッ!!
     ──確認してあるだけでも、マリオ、ヨッシー、子供リンクの三名がッ!!
     その三名の偽者として、スマッシュブラザーズの中へ紛れ込んでいたんだ!!!」
ゼルダ「・・・・そんなっ・・・!!?」


ウォッチの正体を知った時以上に、メンバー達は驚愕の声を上げた。
突然ウォッチは自身と同じ、黒い平面のマッチ棒を取り出すと、怒り狂ってそれをファルコの死体に叩きつける。
骨の砕けた音が鳴ると同時にファルコの死体から真っ赤な炎が吹き上がった。
燃え盛る死体を蹴飛ばすと、高熱を帯びたマッチ棒の先端をメンバー達に向ける。


ウォッチ「・・・やはり最初から信用できる者達など居なかった。
     みんな、みんな偽者なんだ。私を騙して、陰で私の事を指差して笑っているに違いないっ。
     そ、そうだ・・・マスターハンドと戦っていたのも、全部私を陥れる為の芝居だったんだ。
     ・・・マリオの偽者達はマスターハンドに組する役。生き延びた者達はそれに立ち向かう役。
     それ以外の者は、私を欺く為にマスターハンドに操られたと言う設定の役者達。
     そう、きっと、いや絶対そうだ。・・・は、はは・・・そこまで・・・お互いを殺しあう芝居までして・・・
     私を、侮辱して、バカにしたいと言うのか・・・ッ!?貴様等ァッ!!?」
ピチュー「な・・・何言ってるのさ、ウォッチ・・・!?言ってる事が滅茶苦茶だよ!!」


震える声でウォッチが長い言葉を吐き終えると、ピチューの言葉も耳に入った様子は無く、
滅茶苦茶にマッチ棒を振り回しながら叫び声を上げる。


ガノンドロフ「・・・・・奴の言う事が所々おかしくなって来ている。・・・奴の思考回路もおかしくなってしまったと言う事か・・・」
ウォッチ「おかしい・・・だとッ!!?おかしいのはそっちだッ!!
     本気でお互いを潰しあってまで、私を騙し、嘲笑おうとする、お前達の考える事がぁッ!!
     赦せない・・・赦せるものかッ!みんな、みんな死んでしまえ!!全員、殺してやるッ!!!」





  二十六話  ホントの最終決戦 ─スマッシュブラザーズ結成者:Mr,ゲーム&ウォッチ─





ウォッチ「さあ、始めようッ!スマッシュブラザーズの、幕下ろしだ!!」


ひゅん、ひゅんっ、とマッチ棒を振るって鮮血を落とすと、叫びながらウォッチが駆け出した。
狙いはすぐ近くに居たピチュー。やはり戸惑いを隠せないピチューはシールドを張る事しか出来なかった。
マッチ棒がシールドに叩きつけられた瞬間、一瞬にしてピチューの展開したシールドは粉々に砕け散ってしまう。


ピチュー「ぅ・・・ぁあ・・・っ・・・・!」
ウォッチ「死ねッ!!!」
ゼルダ「くっ、間に合えっ・・・──!」


シールドブレイクしたピチューを、ウォッチの一撃は確実に捉えたはずだった。
・・・はずだったのだが、大振りのその一撃は空しく風を切っただけ。
舌打ちして、辺りを見渡すとウォッチが憎々しげに呟く。


ウォッチ「・・・・シーク転身・・・ですか。ふん、小賢しい事をしますね」
シーク「・・・こちらの姿なら素早く動けるからな」
ピチュー「ありがと・・・、ゼルダ・・・いや、シーク」


ピチューを抱え、ウォッチから遠く離れた場所へまで移動していたのはゼルダの転身した姿、シーク。
白い布で顔を隠し、まるで忍者の様ないでたちの、金髪の男性の姿だ。
シークは片手にピチューを抱いたまま、ウォッチ目掛けて鋭く細い、六本の針を投げつける。
銀色に光る針は直線状に並んで、常任に避けるのは不可能な程の速度でウォッチ目掛けて飛んで行く。


ウォッチ「仕込み針・・・。来ると解っていれば避けるのは容易い攻撃ですね」
シーク「・・・・・っ」
ウォッチ「次は、私の番だ!!」


ひらりと身を翻して投げつけられた針を回避すると、今までに無い滑らか、かつ素早い動きでシークの目の前へと移動する。
驚く暇さえ与えようとはせず、ウォッチが勢い良くシークの胴へとマッチ棒を振るう。
マッチ棒と接触する寸前にシークと、腕の中のピチューの身体が煙に包まれてその場から消え去った。


ウォッチ「・・・浮身、か・・・しかしその技の移動範囲はフロルの風と違ってそう遠くない、となると」
シーク「・・・何っ・・・!!?」
ウォッチ「自由に動けない空中を除いた、私の視界から逃れられる場所・・・やはり、背後ですか」


着地した直後だったシークは突然振り返ってマッチ棒を振るってきたウォッチに反応しきれない。
今度ばかりは回避できない。あの破壊力だ、喰らえば一溜まりも無いだろう。
だが、マッチ棒がシークを殴り飛ばす事は叶わず、代わりに二人の間で人の頭ほどの大きさのハンマーが舞う。


ウォッチ「よくも、邪魔をしてくれましたね・・・!アイスクライマーッ!!」
ポポ「邪魔しない訳にはいかないよっ・・・!」
ナナ「たあああっ!!」
ウォッチ「っぐぅ!?」


投げつけられたハンマーにマッチ棒を弾かれ、怒りに震えるウォッチがポポに気を取られた隙に、
背後へと回り込んだナナがウォッチをハンマーで殴り飛ばす。
勢い良く吹き飛んだウォッチはマッチ棒を強く床に打ち付けて、それ以上吹き飛ぶのを阻止する。
床に落ちたハンマーをナナが回収すると、ポポへ向かって投げ渡す。


ガノンドロフ「そうだ・・・躊躇してはならん。一瞬でも攻撃するのを躊躇えば、そこで終わりだ!」
ウォッチ「があぁぁっ!!!」


体勢の崩れているウォッチの腹に、闇を纏った拳を打ち付けるガノンドロフ。
床を滑る様に吹き飛んだウォッチが、再びマッチ棒を床に打ち付けてその場に留まる。


ウォッチ「くく・・・くくくっ・・・やはり偽者だ・・・仲間だった者を容赦なく攻撃する・・・あなた達は・・・」
ガノンドロフ「ふん・・・、マスターハンドに他の者達を蘇生させるから容赦ない攻撃が出来るだけだ。
       安心しろ、貴様も殺した後で蘇生させて、正気に戻してやる」
ウォッチ「成る程・・・。あなた達が本気で殺し合いの芝居をする事の出来る理由は、その様な後ろ盾があるから、ですか。
     しかし私を正気に戻すと言うのは解せませんね。私は・・・、元々、正気ですよ・・・!?」


言うと、支えにしていたマッチ棒をしまい込み、片手に旗を、片手にハンマーを構える。
彼の必殺技の一つ、ジャッジだ。
標的をガノンドロフに絞ると、勢い良く突進してきた。
瞬間、ウォッチを見据えたガノンドロフが、腰から禍々しい大剣を抜く。
しかし、抜いた大剣が妖しく美しい輝きを放つ刀身を見せたのは、ほんの数秒間だった。
その数秒間で、本来、乱闘では用いらないガノンドロフの武器は、刃の半ばから折れ飛んでしまっていた。


ガノンドロフ「バカな・・・!?」
ウォッチ「ふくぁっはっはっはっはーッ!!」


どこかで折れ飛んだ剣の片方が床に落ち、金属音が鳴り響く。
それを聞き届けると、ウォッチは滅茶苦茶に何度もハンマーで殴りつけてきた。
目にも留まらぬ速度でハンマーが振るわれ、同様に次々ともう片方の手に持つ旗に様々な数字が現れては消える。
数字によってハンマーが電気を帯び、冷気を纏い、熱気を噴出してその威力に力を上乗せする。
折れた大剣で必至に絶え間なく繰り出される打撃を防ぐも、六発目を喰らった所で柄の部分が砕け散った。


ウォッチ「あなたの愚かな一生に今、ジャッジ──判決を・・・!」
ガノンドロフ「くっ・・・!!」
シーク「やめろっ・・・!!」
ドンキー「うぉおおぉおおお!!」
アイスクライマー「「たああああっ!!」」


体制を崩したガノンドロフに襲い掛かるウォッチ目掛け、六本の鋭い針が飛翔した。
反対側から腕を振り回しながらドンキーが飛び掛り、後ろからはアイスクライマーの二人が殴りかかってくる。
小さく舌打ちすると、ウォッチは自分自身を中心にハンマーを一回しする。
瞬く間に全ての仕込み針が弾き飛ばされ、ドンキーとアイスクライマーは吹き飛ばされてしまった。


ガノンドロフ「魔人拳!!!」
ウォッチ「・・・ふん」


前方から突き出されてきた、ガノンドロフの渾身の一撃。
だが、隙の大きいその攻撃は、ウォッチに軽く回避されてしまった。
天へ掲げられたウォッチの持つ旗に表示された数字は、『9』。
最後におびただしい程の電気を纏わり付かせたハンマーを、ガノンドロフの脳天目掛けて振り下ろした。


ウォッチ「・・・正直、ここまで私の攻撃を耐え凌げるとは思いませんでしたよ」
ルイージ「がっ、・・・!!」
ドンキー「ガノンドロフーーーーッ!!!!」


頭が割れ、真っ赤な血を噴出しながら崩れ落ちる死体を見つめ、唖然とするルイージ。
強烈な一打を叩き込まれ、口元から血を滴らせながらドンキーが悲痛な声で叫んだ。
がくり、と膝をつくシーク。ピチューの目元に幾度となく流した涙がまた浮かぶ。
ドンキー同様に、大ダメージを負ったポポとナナが攻撃を受けた場所を押さえながら後ずさる。
目の前に広がる悲惨な光景。血溜まりを広げるのみのガノンドロフの姿が目に入る度に涙がこぼれる。


ナナ「・・・・酷い・・・・っ」
ウォッチ「くはははははっ、はぁはははははは!!!」
ポポ「くっ──そぉおおお!!」


床を蹴って飛び掛ってきたウォッチをポポが何とかハンマーで迎撃する。
だが、ウォッチの圧倒的な力の前には、愛用のハンマーも全く敵わず、持ち手の部分より上が吹き飛んでしまった。
体制を崩したポポを殺すべく、笑いながらウォッチが電撃を纏ったハンマーを振り上げる。
次の瞬間、ポポの後方から巻き起こった吹雪がウォッチのハンマーを持つ腕の付け根を凍て付かせる。
動きの鈍ったウォッチを確認するや否や、ポポは一目散にその場から離れた。


ポポ「・・・ありがとう、ナナ・・・。でも、どうしよう・・・あんな簡単にファルコや、ガノンドロフを殺せる力に太刀打ちなんか・・・!」
ナナ「自信をなくしちゃダメよ、ポポ。・・・・・私だって辛いし、怖い。
   ・・・でも、でも、これ以上、悲しみを増やさない為にも・・・・・立ち向かわなくちゃ・・・っ!」
ポポ「・・・・・・・そう・・・だよね。ごめん、弱気になっちゃって。・・・まだ希望はあるんだ、みんなで、戦おう!」
ナナ「うん・・・!」


追って来るウォッチから逃げつつ、ナナの言葉に我に返ったポポの目付きが変わった。
決心するや否や、素早く足元に転がっていたビームソードを拾い上げ、構える。
先程、マスターハンドが攻撃するべく創造して撒き散らした武器の中の一つだ。
武器を構えて踵を返すと、襲い来るウォッチを睨みつけ、新たな武器を振るって走り出す。


ポポ「とりゃぁぁああぁああ!!」
ウォッチ「向かって来ますか・・・!!」


思い切りビームソードを振るうと、エネルギー体で形成された刃が伸びてウォッチを襲う。
冷静に真っ黒なハンマーでビームソードの一撃を防ぐと、片手に持つ旗に『8』の数字が表示された。
近くに居るだけで身を切る様な冷たさの冷気が平面のハンマーに纏いつく。


ウォッチ「凍りつけッ!!!」
ナナ「あなたがねっ!!!」
ウォッチ「!!?」


ナナの叫びと同時に脇から噴出した吹雪がウォッチの足を凍結させた。
床と足を縛る氷に身を引かれ、前へ踏み出そうとしたウォッチはそのまま前のめりに倒れこむ。
慌ててハンマーから熱気を放ち氷を溶かそうとするウォッチを見据えると、敢然とポポが武器を振り上げる。


ポポ「はああああああああッ!!!!」
ウォッチ「ぎゃぁあぁぁあああぁああッ!!!!」


次の瞬間、ピンク色の一閃がウォッチの身体に斬り込まれる。
渾身の一撃を強かに打ち据えられたウォッチは、溶け掛かった氷を両足に纏わせたまま後方へと吹き飛んだ。
高く舞い、ステージへと叩きつけられ身体をバウンドさせるウォッチに、体勢を低くして力を溜めていたルイージが狙いを定める。


ルイージ「ルイージロケットォォオオオ!!!!!」
ウォッチ「な・・・ッ!!!」


気迫を高める為か大声で怒鳴ると、ルイージは思い切って床を蹴った。
するとルイージの身体を、轟音を鳴り響かせながら真っ赤な炎が包み込んだ。──暴発したのだ。
爆発する勢いに乗って、自身が炎の弾丸と化したルイージがウォッチ目掛け突っ込んだ。
時を同じくして、呆然と事の流れを見つめるばかりだった他のメンバー達が動き出す。


ドンキー「あいつ等だけ戦わせておいて、いつまでもへこんでられねえからなッ!!!」
シーク「全くだ・・・!」
ウォッチ「ぐあああぁぁああっ!!?」


真っ赤に身体を染め上げて、悲鳴を上げながら吹き飛んできたウォッチを見据えると、
まずドンキーがその豪腕を振り上げ、飛来するウォッチの真上から叩き込む。
床に打ち付けられたウォッチに白く硬い糸が絡みつき、糸を持つシークが腕を振り上げ、空高くウォッチを飛翔させる。


シーク「身をもって知れッ・・・この必殺の、鉄糸舞の威力をッ!!」
ウォッチ「うごはァ!!?」


その状態から一気にウォッチを繋ぐ糸を振り下ろし、糸の先のウォッチを床に叩きつける。
それで終わりではない。シークが糸を強く引くと、自分自身を軸として糸を回転させるように振り回す。
もちろん、糸に繋がれているウォッチは床に身体を密着させたまま引き回され、痛みのあまり絶叫した。
十回転もした頃には、ウォッチを繋いでいた糸も解け、勢いあまって身を放り出される。
間髪居れずに傷だらけのウォッチの頭上へと飛翔した小さな影は、あらん限りの叫び声を上げた。


ピチュー「喰らえええええええええええええッ!!!!」
ウォッチ「うぉおおおおおおおおおッ!!!?」


もうどこにもそんな力が残っているはずが無いと言うのに。
ピチューは両頬からばかりでなく、全身をスパークさせ、青白い電撃をウォッチ目掛け解き放った。
直線状に撃ち出されたそれは、確実に倒れ込んだウォッチを捉えた。


ピチュー「・・・・・・・・・」


煙の上がるステージへと着地するピチュー。彼の眼差しは真剣なもので、安堵等は一切見られない。
他のメンバー達の表情もそうだ。・・・彼等の視線は、全て一箇所に集っている。
しばらくして、真っ黒に焦げたその場所で何かが蠢いた。──一斉に全員が身構える。
よろりと立ち上がったウォッチは、あれ程の猛攻を受けた後だと言うのに、
その場に立ち尽くしたまま、笑っていた。


シーク「・・・何が・・・・・おかしい?」
ウォッチ「・・・・ふ、ふふ・・・。ククッ、はァははは・・・・・・っ。あははは、ふぁっはっはっはぁっ!
     痛い・・・痛い・・・ヒッ、はっはっは。痛い・・・苦しい・・・。くくく、くくくくぁ、くぁっくぁっくぁっはあっ!
     まさか・・・まさか、ここまで・・・・・とは。あなた方偽者の実力も、捨てたものではないようですねェ・・・!!」


狂った様に笑い、言い放ちながら両手に今まで使っていた必殺技に用いるハンマーとはまた違う、小型のハンマーを持つ。
自身は小さく跳ねとんで、両脇にそのハンマーを同時に叩き付けた。
凄まじい力で打ち付けられたハンマーが、目には見えない衝撃波を生み出す。
終点全体へと及んだ衝撃波は、反応し切れなかったメンバーの足を次々に襲う。
足元をすくわれたスマッシュブラザーズは、ほぼ全員がその場で転倒してしまった。


ウォッチ「ははははははっ!!喰らえぇえええぇえええっ!!!」
シーク「っ──!!?」
ピチュー「うぁ・・・・!!」


次の瞬間、ウォッチが取り出したフライパンの中から橙色の火炎が噴出す。
フライパンを上下に振るうと、燃え盛るフライパンの中から無数に炎を纏った何かが飛び出した。
雨のように降り注ぎ始める火炎弾は、まさに火山の噴火の如く。
落ちてきたそれを何とか体勢を整え回避するも、、床に着弾した火炎弾は破裂し、大量の火の粉を撒き散らす。
体勢を崩していたほとんどのメンバーはその被害に遭い、大火傷を負う。


ウォッチ「ふ・・・く、くふふっ・・・。大乱闘で使っていた、私の必殺技の一つ。
     敵を地獄の業火で調理し、死を超えた苦しみを味わせる・・・シェフの原点となった技です。
     これ程の力を、あそこまで威力を抑えて使うのはなかなか大変でしたよ・・・は、はははっ・・・!」
ドンキー「マジ・・・かよっ・・・!!」
ポポ「ぐ・・・・うぅっ・・・」
ナナ「そ・・・んな・・・・っ!」


灼熱の炎が包む終点の中で倒れ伏せ、
あるいは何とか立ち上がっている者達を見渡すと、満足気にウォッチが口を開く。


ウォッチ「・・・・・さて。そろそろ・・・終わりにしましょうか?」
ピチュー「さ・・・・、させっ・・・!させるかぁっ!!」
ウォッチ「むぅ・・・・?」


弱く弾けた電撃が、ウォッチの身体をかすかに揺らした。
ゆっくり振り向くと、両頬から微弱な電気を放電しているピチューがそこに立っていた。


ウォッチ「おやおや。・・・どうやら、今すぐにでもその命に終止符を打って欲しいようですね?・・・くくくっ!」
ピチュー「う・・・っ、うわああああぁぁ!!」


言いながら歩み寄ってくるウォッチに恐怖したのか、がむしゃらに放電してウォッチを攻撃する。
だが、どの電撃もウォッチにかすり傷一つつける事さえままならない、弱々しいものだ。
あえて全ての電撃を受け、嘲笑いながらウォッチがフライパンをしまい、再度取り出したマッチ棒をピチューに向けた。


「──ダメだよ、無理しちゃ。兄ちゃんに任せておきな」
ピチュー「・・・えっ!?」
ウォッチ「・・・・ッ!?」


ピチューの傍で、見慣れた姿の者が光の柱から現れ、囁いた。
驚きのあまり、口を開いたまま目を丸くするピチュー。ウォッチも、他のメンバーも驚愕する。
次の瞬間、眩い金色の閃光がほとばしる。
ウォッチを包み込んだ電撃は、今まで放った微弱な電気とは比べ物にならない程、強力なものだった。


ウォッチ「うぐぁぁあああぁぁぁあぁぁぁああッ!!!!」
ピカチュウ「みんなを・・・、ピチューを傷つけるのは許さないよ・・・」
ピチュー「兄ちゃん・・・っ!?」
ポポ「ピカチュウ・・・来てくれたんだっ・・・!」


ピカチュウが戦闘に参加した事で、再びメンバー達の士気が高まった。
棒の様になった足を無理矢理に動かして、次々とメンバー達が立ち上がる。
悔しそうに口元を歪め、仰向けに倒れていたウォッチが、
身体の節々から電子音を鳴り響かせながら上半身のみを起こす。


ウォッチ「ぐっ・・・、・・・・。あの時、私の力を目の当たりにして、逃げ出した者が戻ってくるとは・・・。
     完全な誤算でしたよ。こちら側の者を潰すのを急がずに、先に外側の者達を完全に潰しておけば、
     こんな事にはならなかったというのにッ!!」


言い終えた直後、目にも止まらぬ速度で体勢を立て直し、一気にピカチュウの目の前まで間合いを詰める。
脇のピチューにはもう関心も示さず、構えたマッチ棒をピカチュウの脳天へと振るった。
咄嗟に展開されたシールドがマッチ棒を弾く。代償として、シールドの規模が二回り程縮んでしまった。


ピカチュウ「つっ・・・・!」
ピチュー「兄ちゃん!」
ピカチュウ「ピチューっ・・・!!離れてッ!!」
ピチュー「!? な、何でさっ!?」


ウォッチの押し付けてくるマッチ棒を、すり減りつつあるシールドで防ぎながらピカチュウが叫ぶ。
兄を置いて逃げる事に抵抗を感じたのかその場から動かないピチューだったが、
やむなくピカチュウがシールドからはみ出してきた尾を振るって彼を遠くへ叩き飛ばす。


ピカチュウ「誰も近づかないでよ・・・絶対にね!」
ピチュー「兄ちゃん!何するつもりなんだよ!?」
ルイージ「ピカチュウ!?」
シーク「近づいては・・・いけない!」


近づこうとする二人に静止の言葉を上げるシーク。
シールドの中のピカチュウの身体が、鋭く眩い輝きを放っていたからだ。
その数秒後、彼の予想は現実のものとなる。
不意にピカチュウがシールドを解いた。もちろんマッチ棒はピカチュウ目掛け振り下ろされる。
しかしウォッチの攻撃がピカチュウに到達する直前に、それは起こった。


ピカチュウ「喰らえぇぇえ・・・!!ボルテッカー!!!!」
ウォッチ「な・・・っ!?やめッ・・・、ろ・・・ぉお
     ぉぉおぉおおおおぁぁあぁぁあああああぁッ!!!?」


青白く光り輝く、球状の電気の膜に包まれたピカチュウが高速で振り下ろされたマッチ棒の隙を掻い潜る。
光球と化したピカチュウはそのままウォッチの腹部に激突し、ウォッチを激しく感電させる。
のみならず、ウォッチの身体に密着し、ウォッチを押し飛ばす要領であちらこちらを飛び回る。
時には床に叩きつけ、時には空高く突き上げて。
その度にウォッチのくぐもった悲鳴が終点に木霊する。メンバー達はその様子を唖然としたまま見つめていた。


ウォッチ「うがッ・・・あッ、・・・・・ぁッ・・・」
ピカチュウ「・・・・・・・」
ドンキー「す、すげえ・・・・」
ナナ「あのウォッチを・・・ここまで・・・!」


やがてピカチュウを包み込んでいた電流が途切れ、宙を舞っていた二人が落ちてくる。
どさり、と強かに身体を床に打ちつけたウォッチの隣に、ピカチュウが軽い身のこなしで着地する。


ウォッチ「見た事も・・・聞いた事も・・・喰らった事も・・・ない・・・技・・・です・・・。一体・・・今の攻撃は・・・?」
ピカチュウ「ポケモンの扱う攻撃の中でも最強の部類に入る技。
      ・・・本来、この時間に居る僕には扱う事の出来ない技だ」
ピチュー「・・・・?ど、どういう事・・・?」


途切れ途切れに問いかけるウォッチに答えるピカチュウが、何か意味深な言葉を口にした。
疑問をあらわにしたピチューにちらりと視線を送ると、ピカチュウは真剣な眼差しで仲間達を見渡しながら、強く言った。


ピカチュウ「みんな、騙してごめん。
      ・・・僕は、この時間、この場所に居るべきではない存在なんだ。
      ある意味での、偽者のピカチュウ・・・・・と言う事になる」
「「「───ッ!!!?」」」


不可解かつ、衝撃的な言葉を吐くピカチュウに言葉を失うスマッシュブラザーズ。
ウォッチもまた、表情の無い顔だが驚愕している様だった。
しかし彼は、すぐに開きっぱなしの口を憎しみに歪め、目の前のピカチュウに顔を向けながら言う。


ウォッチ「・・・・・そういう事ですか。私に偽者だと言うのを見破られたから、隠す事はもう無い・・・と」
ピカチュウ?「それは違う。確かに僕はこの時間の僕じゃない偽者の僕だけど、
       僕は、この時間の僕の過去であって、また、この時間の未来の僕。ある意味では、本物の僕って事」
ウォッチ「・・・?言っている意味が解りませんね」
ピカチュウ?「更に言うと、この時間に生きる僕はまだ競技場のどこかでプリンと一緒に居る。
       僕はついさっきこの時間に送り込まれてきたんだ。つまり、今、この時間には二人の僕が存在している訳さ。
       ・・・意味が解らなくても良い。本当は僕だって何て言えば良いのか解らないんだから」


目の前のウォッチを見据えながらピカチュウの口にした言葉は、誰も理解する事は出来なかった。
──それもそのはず、か。
小さくため息を吐くと、倒れたままのウォッチに背を向け、近い位置に居たポポの元へ歩み寄る。
黙ったまま、ポポは緊張した面持ちで、歩み寄ってくる、自ら仲間の偽者だと称する彼を見つめる。


ピカチュウ?「心配する事はないさ・・・僕は君達の仲間だよ。それは変わらない。
        ・・・あのね。頼みがあるんだ。
        僕が、この時間にやってきた理由もそれについてなんだけど」
ポポ「・・・・・?」
ピカチュウ?「・・・良く聞いて。ちゃんと覚えてね」


真剣な表情でポポを見上げながら囁く様に言うピカチュウ。
小声で話しているため、その内容を他のメンバー達はおろか、ウォッチも聞き取る事は出来ない。
そんな中、ピカチュウの言葉を聞くにつれポポの目が驚きに見開かれてゆく。
全員が興味深げに二人の事を見つめている。・・・誰も彼等に近づいて、その話の内容を聞こうとはしなかった。
例え偽者だと言おうが、彼は自分達を助けてくれた仲間なのだ。
その仲間が小声で、誰にも聞こえないように囁きかけていると言う事は、きっと誰にも聞かれたくない内容なのだろうから。


ウォッチ「・・・・・・・・・・」


それでも、相手は待ってくれなかった。
背を向けたままのピカチュウに、ピカチュウの話に聞き入るポポ。二人の様子が気に掛かるメンバー達。
非情にも隙を見出したウォッチは、マッチ棒を支えに立ち上がると、床を蹴ってピカチュウへと襲い掛かった。


ウォッチ「ハハハッ!!バカめ、状況を見てからそういう事をするんだなぁ!?」
ポポ「ぴ、ピカチュウっ!?来たよ!!」
ピカチュウ?「・・・大丈夫。解ってるよ」


瞬間、鮮血が噴き上がる。ポポが悲鳴を上げる。誰もがピカチュウの名を叫んだ。
・・・数秒後、その場の全員の表情が凍りつく。俄かには、信じがたい事が起こっていたのだ。
強大な力で脳天を殴りつけられたピカチュウは、頭部から大量の出血をしながらも尚、平然と立っていた。
顔を真っ赤に染め上げたピカチュウがゆっくりと振り返り、動揺を隠せないウォッチを睨みつけ、口元の端をやや吊り上げる。


ピカチュウ?「成る程ね。少しずつ、死ねない身体になってゆくって言うのは、こういう事か。
       ・・・・・さぁて。僕は僕の最後の仕事を成し遂げなくちゃ」
ウォッチ「なっ・・・なっ・・・!?」
ピカチュウ「なるべくみんなに苦労をかけさせない。それだけだから、安心しなよ・・・!!」


その小さな姿からは想像出来ない程の気迫を発して威圧するピカチュウが後ずさりする平面体へ詰め寄ってゆく。
とうとうウォッチの胸倉を短い両手で掴むと、二人の頭上に巨大な雷雲が現れた。


ピカチュウ?「敵も、僕自身も、全てを貫く。
       ・・・残った僕の力全てを電気に転化する、捨て身の秘儀」
ウォッチ「あ・・・ああああぁ・・・・っ!?」
ピチュー「に──兄ちゃんッ!?」
ピカチュウ「ここで、みんなとお別れだ。
      別に気にする事は無い。僕は世界の運命を変える為にこの時間へやってきただけ。
      ポポ、後は頼んだよ。ピチュー、・・・みんな。
      ・・・必ず、いつかまた会えるさ」


最後にそう言い残すと、ピカチュウは仲間達に向かって優しく微笑みかける。
瞬間、雷雲から一点に集中した巨大かつ鋭い稲妻が降り注ぎ、ピカチュウとウォッチの身体を包み込んだ──。





──・・・その稲妻は、ウォッチとピカチュウの立っていた終点の中央部分を、大きくえぐり取るように破壊していた。
他の時間から来たと言うあのピカチュウは、これ程の力を持っていたと言うのだろうか。
だが、メンバー達を助けてくれた自らを偽者と称するピカチュウは、自身の落とした稲妻によって何処かへ消し飛んでいた。
それでも、稲妻の落ちた場所の中心に居る存在だけは、身体の形を維持し、まだ意識さえもあった。


ウォッチ「私・・・ハ、・・・私は・・・・・、」
ナナ「・・・・・・・嘘でしょ・・・?」
シーク「何故、まだ・・・生きているんだ・・・!」
ウォッチ「ククく・・・・ふくぁはは・・・はハハっ。私は、私はぁ!!
    史上最強の存在ッ、Mr,ゲーム&ウォッチだぁあ!!!!!」


ついに、本当に狂ってしまったのだろうか。
立ち尽くすメンバー達の中へと、笑いながら、絶叫しながら、狂気をむき出しにして飛び込んで来る。
誰もが満身創痍で、圧倒的な力を秘めるウォッチの攻撃を受け切る余裕などは残されていない。
・・・その時だった。


「させるかぁぁああぁあ!!!」
「ってぇぃやああああぁ!!!」


迫り来るウォッチの両端に、不意に光の柱が出現し、ほぼ同時に叫び声がその中から轟く。
どちらとも聞きなれた声で、特にその内の片方の声は、つい先程までこの場に居た存在と全く同じ声だ。
瞬間、右側の光の柱から電撃が直線状に、左側からは桃色の弾丸が回転しながら一直線にウォッチ目掛けて突っ込んだ。
左右から圧縮するような攻撃を受けたウォッチは、その場に勢い良く転倒した。
両手を床について何とか立ち上がるも、何が起こったのか把握できていない。


「終わりだ!!!」
ウォッチ「がッ・・・・、そんな、バカな・・・・・ッ!!
     ありえ・・・ない・・・ッ、この私が、負けるなどっ・・・・!!!」


そして、背後からの鋭い一閃に膝から崩れたウォッチが途切れ途切れに言い残すと、その場に倒れ込む。
青いマントをはためかせ、ウォッチにとどめの一撃を与えた青髪の男は、鋭く、美しい剣を両手に握り締めていた。


ピチュー「・・・ま、マルス・・・!プリンと、・・・・──兄ちゃん!!?」
プリン「・・・みんな。やっと会えた!」
ピカチュウ「何だか、久しぶりにみんなの顔を見た気がするよ・・・!」
マルス「・・・ただいま、みんな。・・・ごめん・・・あの後、逃げ出してしまって・・・」


明るく振舞う二匹をよそに、俯きながらマルスがそう言った。
しかし彼が最後の強敵を倒したと言うのは事実だ。
全員で彼等を歓迎したいという気持ちは誰にもあったが、それよりも勝る疑問が目の前に、まだ残っていた。


ルイージ「な、何で・・・ピカチュウが、居るの・・・?」
ピカチュウ「うん?そりゃ、助けに来たからに決まってるじゃない」
ポポ「・・・・・・・・」
ナナ「いや、そうじゃなくて・・・」


何も知らないらしいピカチュウに、メンバー達の困惑は更に増すばかりだ。
そんな中、一人だけ黙っていた者が、不意に頭を上げた。


ポポ「・・・僕が、説明するよ」


突如として、ポポがそう言うと、一歩前に出た。
一斉に全員が討論を止め、ポポに視線を向ける。
・・・確かに、彼は困惑するメンバー達の中で一人だけ様子がおかしかった。
それに、先程のピカチュウに何かを言われていたのも彼だ。
恐らく、彼がピカチュウの事について説明できる程の事を知っているのは本当の様だ。
全員が沈黙した中で、ポポはどこか口を開く事を躊躇っていたが、やがて決意した様に一呼吸置いて全員を見渡した。


ポポ「・・・・・これは・・・今、ここに居るピカチュウとは、別のピカチュウから・・・聞いた事なんだけどね・・・。
   ・・・・後で聞いて、驚かないように・・・。最初に、言っておくよ。
   僕達は、これからすぐに・・・死んでしまうらしいんだ」


ポポがそう言った瞬間、自然豊かな美しい終点の景色が、一気に闇の中へ飲み込まれた。







続く



音楽提供:ONE's


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