マスターハンド「死ぬ事の出来ない世界で、死を超越した苦しみを味わう制裁・・・
        私にたてつく愚か者は皆こうなるのだ・・・くくく、はっはっは・・・ふはぁーーっはっはっはっはっはぁ!!!」
クッパ「ぐっ・・・ぉぉおおおオオオオぉおおオオオオォオぉォォォぉおおおォオッ!!!!」
ルイージ「うッ、ぁっ、ぐぅぁああッ・・・ぁあああああああああああッッ!!!!」


身体を蝕む業火に一行が悶え苦しむ様を嘲笑うかのように、
マスターハンドの笑声が終点全体へと響き渡る。
痛みを堪えきれずに頬を伝いかけた涙が灼熱の温度に蒸発してゆく。
マリオの掌から絶えず撃ち出され続けていた炎が止んでも尚、終点は火炎を巡らせ一行を痛めつける。


マスターハンド「・・・マリオ。奴等の蓄積ダメージは大体どのくらいだ?」
マリオ「申し訳ありませんが、私には分かりかねます。
    この技は自分自身でも制御が利かず、威力の測定は不可能なもので・・・」
マスターハンド「・・・・まあ良い、どちらにせよ、奴等は再起不能。
        これ以上、私に逆らおうなどと愚かな考えは持つまい・・・・・、・・・・・なッ!?」


いくつもの火の粉が床の所々から上がる炎から舞い散る。
真っ赤に照らされたステージ上には、マスターハンドと敵対していた者達が、
一瞬の休みさえ許されない痛みと苦しみに精神を打ち砕かれ、力なく横たわっているはずだった。
──はずだった、というのに。


マスターハンド「何故・・・立っていられるというのだッ・・・!?スマッシュ・・・ブラザー、・・・ズ・・・ッ!!?」
マリオ「嘘、だろ・・・?あの攻撃を喰らって・・・あり得ないッ・・・嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だッ!?」
ドンキー「嘘じゃねえ。・・・どんなに痛くても、苦しくても・・・俺達には、生き延びなきゃいけない理由がある」
ポポ「ついさっき、マルスとロイが運んできてくれた、希望・・・それが、あるから」
ルイージ「これぐらいッ・・・他の皆が受けた仕打ちに比べれば、どうって事はない・・・苦しみ、だよ・・・!」


彼等は荒い息遣いをしながらも、しっかりと立ち、マスターハンドを睨みつけていた。
一行を取り巻く炎の勢いも徐々に弱まっていき、臨戦態勢に入ったメンバー達の姿があらわになる。
明らかに動揺するマスターハンドに、ゆっくりと、一歩ずつ弱まりきった炎を上げる終点を一行が歩んでゆく。


マスターハンド「ま、マリオ・・・!もう一度だ、もう一度やれッ!」
マリオ「お、仰せのままに・・・っ」
「やらせねえよッ!」
マリオ「うグゥぁあッ?!」


再び両手を掲げたマリオが背後から強く蹴り飛ばされる。
見ればそこには、消えてゆく転移装置と、フォックスの姿。
更に、蹴り飛ばされたマリオが吹っ飛んだ先にも、新たに転移装置が現れる。
装置の形成する光の中から緑色の衣服に身を包んだ青年が現れ、即座に左手の剣を振るう。
マリオの身体に一閃、すかさず時の勇者、リンクはもう一度鋭い剣撃をマリオに叩き込んだ。


マリオ「くっ・・・くそぉおぉおおおおおおッ!!!てめえ等ぁよくもぉぉおおおおお──!!!」
リンク「・・・・マスターハンド、私達はもう、あなたの手の中には居ない」
フォックス「これ以上、お前の思い通りにはさせねえぞ・・・!」


勢い良くマリオは吹っ飛んで、憎しみに満ちた叫び声と共に場外となる。
その様を見届けると、リンクが振り返り、マスターハンドを見据えつつ一行の元へ。
同じようにマスターハンドを見つめながら、フォックスもスマッシュブラザーズへと戻ってゆく。
十人のメンバー達が揃い、マスターハンドの前に立ちはだかる。
苦虫を噛み潰したかの様な、それでいて苛立ちを感じさせるような声でマスターハンドが呟く。


マスターハンド「・・・・・・どうする・・・?こうも数が増えてしまっては・・・私だけでは少々、苦戦するかもしれないな・・・・・
        ならば・・・・ここは・・・・やむを得ずに、あいつを呼ぶべきか・・・・?・・・いや・・・・・・まだだ・・・・・・、
        あんな奴等、私一人だけでも十分に叩きのめせるッ。あいつは、まだ戦わせる訳にはいかない・・・」


ぶつぶつと呟きながら、マスターハンドがメンバー達の前へと降りてくる。
彼等を、圧倒的な力で一掃するべく。
メンバー達が身構える。マスターハンドは拳を握る。


マスターハンド「私の名はマスターハンド。使役する力は、創造力・・・!
        貴様等愚か者どもを、この私が死体に創り変えてやろう・・・!!」






  二十話 VS 創り出す者







マルス「させるものかッ!」
ロイ「やぁぁあああッ!!」


瞬間、風を切って巨大な拳がメンバー達を狙って飛来してきた。
すかさずマルスとロイが前に出て、剣を構える。マスターハンドの身体が二人に接触する寸前、
マルスとロイが同時に巨体による体当たりを受け流し、マスターハンドを斬りつける。


マスターハンド「ウグッ・・・がぁあっ・・・!愚か者、どもめ・・・!」
クッパ「ぬぉおおおお!!」
フォックス「おらああああッ!!」


マルスとロイの反撃に、一瞬硬直したマスターハンドをクッパとフォックスの打撃攻撃が襲う。
呻きながらも素早く、マスターハンドは床を滑るかの様に低空飛行しながら後退する。
そのままマスターハンドが人差し指と中指を揃えてメンバー達に突きつけた。
親指は頭上目掛けて突き立てて、残りの二本の指は手の平の中へ収め込む。


クッパ「・・・あの構えはなんなのだ?」
リンク「・・・・私達が戦った時は、殴ったり払ったりの、
    単純な直接攻撃のみしか仕掛けてこなかったので・・・、分からないです」
マスターハンド「消え去れぃッ!!」


マスターハンドの叫び声と共に轟いたのは銃声。
手袋の二本の指先から、二発の巨大な弾丸がミサイルの如くメンバー達に突進してきたのだ。
慌ててメンバー達が弾丸を脇に跳んで回避する。標的を失った弾丸はステージの外の空間へと吸い込まれてゆく。
いつしか、複雑なプログラムの中を通り抜けるような空間は、闇色の渦へと吸い込まれるようなものへと豹変していた。


クッパ「お前達ほどの強者が、その様な直接攻撃のみであそこまでやられるとは思えないのだが・・・?」
リンク「ええ、正直、私達も何が起こったのか分かりませんでした。気がついたら辺り一面血だらけで──、
    今のマスターハンドの銃撃も使用した痕跡は全くなかったですし」


マスターハンドに向かって駆けながら二人が会話を交わす。
リンクの言葉にクッパがどうもおかしい、と悩むが、今はそれ所ではない。
マスターハンドの手刀を回避して、爪をマスターハンドに突き立てる。
思い切り突き立てた爪を引くと同時に、マスターハンドの悲鳴が上がる。
そこにリンクの投げつけた爆弾が爆発を起こし、その上でリンクの剣による鋭い一撃が斬りこまれる。


マスターハンド「貴様等ッ・・・絶対に・・・赦してなるものかァッ・・・」


怒気を帯びたマスターハンドの言葉が終点の空間に響き渡る。
握り拳をつくると、マスターハンドの切れた手首から火炎が吹き出す。
まるでロケットの様に、炎を噴射しながらマスターハンドが辺りを飛び回る。
そのままステージ上から離れて行き、闇色の渦へ向かって飛んでゆく。
何をする気なのか、とメンバー全員が構えた途端、凄まじい勢いでマスターハンドが
渦の中から飛び出して来て、ステージ上のメンバー達を吹き飛ばすべく突進してくる。


マスターハンド「これがァッ!創造主の力だぁぁッ!!くはぁっはっはっはっはっはァーッ!!」
ドンキー「それがどうしたってんだよ・・・!」
マスターハンド「ぬ・・・ぐぅ!? な、何だとッ・・・まさか!?」


先程まで豪速の速度で突っ込んできていたマスターハンドの拳が止まっていた。
マスターハンドの前に立ちはだかるのはドンキー。
何と、彼は両手でマスターハンドの拳を受け止めていたのだ・・・!


マスターハンド「グッ・・・貴様ぁぁッ・・・どこからそんな力が湧き出るッ・・・?!
         この私の一撃を、素手で受け止めるなどッ・・・!!」
ドンキー「多分、これが仲間を想う気持ち・・・って奴だろうなぁ!!」
マスターハンド「ぐガハァッ!!」


押さえつけたままのマスターハンドを、ドンキーが力を振り絞って床に叩きつける。
隙を晒したマスターハンドに、他のメンバー達が次々に攻撃を仕掛ける。
電撃が、冷気が、火炎が、剣撃が、一斉に悶えるマスターハンドを撃つ。


マスターハンド「がぁああッ・・・・ぁああ、うがああああああああああああッ!!!
        愚か者どもめがッ、人形風情がぁあッ!!この私に、この私にたてつこうなどぉおおッ!!!」


スマッシュブラザーズの集中攻撃の中から、
激しく跳ね上がるようにしてマスターハンドが上空へと飛び立つ。
バチリと身体にかすかな電流を纏わりつかせると、真下に居るメンバー達に手の平を晒す。
開いた五本指を巧みに操りながら、親指を除いた指先から青白い熱光線を発射した。
滅茶苦茶に床を駆け巡る光線にメンバー達が次々と斬り付けられて行く。
もちろん、外傷はないものの、斬りつけられた患部が、肉が焼ける様な、裂かれる様な痛みに苛まれる。


マスターハンド「ふっ・・はははッ・・・!下衆どもがッ!おとなしく私の前にひれ伏しているが良い・・・!」
「ひれ伏すのは貴様の方だ、手袋め」
マスターハンド「──うぐぉッ!!?」


指先から絶えず放ち続けられていた光線が不意に止む。
それと同時にマスターハンドが呻きながら床に落ち、叩きつけられる。
少し遅れて横たわるマスターハンドの隣に着地したのは、ガノンドロフだった。


ピチュー「えぇっ・・・!?」
リンク「ガノンッ・・・ドロフ!?」
ガノンドロフ「そう驚く事もないだろう、お前達と同じだ」


マスターハンドの背後に転移装置で移動してきたガノンドロフは、
光線を放ち続けるマスターハンドを渾身の力で殴り落としていたのだ。
そのまま、マスターハンドが浮き上がろうとしている間にも、新たに二つの転移装置が終点に現れる。


ポポ「ネス、ゼルダ!」
ナナ「あなた達も来てくれたのね・・・!」
ネス「もちろんだよ、あの手袋にはきっちり落とし前をつけてあげないとね」
ゼルダ「感情を弄び、人の命や、心を踏みにじる方は・・・許せません」


ベースボールキャップを被った、ボーダー服の少年と、
清楚なドレスを着込んだ姫君が装置から姿を現すなり、
力を振り絞って、宙を浮き上がり始めたマスターハンドを睨みつけながらそう言い放つ。


マスターハンド「小賢しいっ。貴様等など──貴様等などッ!!」
マルス「来るぞ!」


一気に空中で後退してメンバーとの距離を開けたマスターハンドが、
人差し指と中指をメンバー目掛けて突きつける。
直後、二発の弾丸が指先から撃ち出される。それだけでは終わりではなかった。
立て続けに二発目、三発目と次々に弾丸を発射してきたのだ。
しかし、襲い来る、三発もの二発一組の弾丸──計、六発の巨大な弾丸を前にして、
全く臆した様子など見せずに、フォックスがメンバーの前へ出て、迫る弾丸に立ちはだかる。


マスターハンド「何をする気だっ・・・!?」
フォックス「っは、一時でも俺を操ってた癖に分からないのか?
      リフレクター≠ナ・・・この弾全部、お前に跳ね返してやるんだよッ!!」


直線状に突っ込んでくる弾丸がフォックスに接触する寸前、
フォックスの身体が青白い六角形に囲まれ、フォックスの代わりに六角形に弾丸が触れた。
すると、弾丸は真逆の軌道を描いて後方の弾丸と激突し、相殺する。
最後の弾丸もフォックスに弾き返され、弾丸を撃ち出した本人目掛け飛んでゆく。


マスターハンド「くっ!殺すッ・・・殺してやるッ!!貴様等、全員、殺してくれるわッ!!」
ゼルダ「できるものなら・・・!」
ピチュー「たああっ!!」


跳ね返されてきた弾丸を回避し、マスターハンドが拳をつくってメンバー目掛け突進してくる。
だが、その拳にゼルダの火炎魔法、ディンの炎と、ピチューのでんげきが撃ち込まれる。
炎の爆発と、電気に蝕まれたマスターハンドの動きが一瞬止まった。
アイスクライマーの二人が床を蹴って駆け出し、そのままマスターハンドを二人同時にハンマーで殴りつけ、
ネスのPSI──PKファイヤーによってマスターハンドの身体から火柱がほとばしり、
見出したわずかな隙をも彼等は無駄にしない。


マスターハンド「・・・っさ、まらぁッ・・・!たかがスマッシュブラーズの絞りカスどもめがァ・・・!
         私は・・・私はぁあッ!創る力を司る者ぉッ、この世界の創造主なる存在ぞ・・・!!」
ゼルダ「あなたが、この世界の──創造主?」
リンク「例えあなたが世界を創った者だとしても、私達はあなたに敬意の念の一つも抱く事にはなりませんよ?」
ガノンドロフ「全くだ・・・!」


完全に突進の勢いを相殺され、動きを止めたマスターハンドが声を荒げながら言い放つ。
その場から離れようとしたマスターハンドに、口々にものを言いながらリンク達三人が飛び掛ってゆく。


ガノンドロフ「自信過剰な言葉を二度と使えぬようにしてくれる・・・!」
ゼルダ「今こそ、全ての報いを受ける時です・・・!」
リンク「でぇえぃやあああああああああああああッ!!!」


闇の力を纏いた拳で相手を殴りつける、ガノンドロフの必殺技、魔人拳と、
刃状に象った聖なる光で相手を斬りつけるゼルダの魔法、マジカルカッター。
退魔の剣、マスターソードを持ち、全身を回転させて相手にぶつかっていくリンクの編み出した剣技、回転斬り。
それぞれ三人の放った一撃一撃はどれも重く、鋭かった。
大ダメージを喰らったマスターハンドが悲鳴を上げながら吹き飛び、ステージの端に叩きつけられる。


マスターハンド「ぬ・・・う、くそおっ!マリオ達はァッ・・・まだ、来ないのかッ!?
        遅すぎるッ・・・何故戻ってこないのだぁ・・・・!!?」
ルイージ「決まってる、兄さん達はウォッチに正気に戻してもらってるんだ・・・!」
ドンキー「・・・・そ・・・・そうだっ!あいつ等が・・・あいつ等が、お前の仲間のはずがねえッ!」
マスターハンド「有り得んっ・・・有り得んぞォッ・・・ぬぐぐ・・・ゥううううぉおおお・・・・!!」


呻きながら疑問を口にするも、兄達が操られていると信じたままのルイージと、
操られていないという可能性を知ってしまっているドンキーが反論する。
前者は朗々と、後者は迷いの混じった様子だった。
その反論の言葉を否定しつつ、マスターハンドが身体を震わせながら宙に舞い上がる。


マスターハンド「ぐ、うああぁああッ・・・・・あぁあああああああああああああぁぁぁぁーーーーっ!!!!」


舞い上がりながらマスターハンドは何かに憑かれた様に呻き。
その数秒後、足場を揺るがす程の大声で、絶叫した。
同時に、終点の所々に、いくつもの大きな青い光が収束する。
先の光線の青白さとは違う。ただただ、真っ青な光だ。
次の瞬間、全ての青が爆発し、終点全体の空間が青い光で埋め尽くされた。


マルス「これ・・・はっ!?」
ロイ「一体・・・何が・・・起きようとっ、ぐぁああッ!?」
ネス「どうしたの!?ロ──うわあああっ!!」
ピチュー「いたぁああああッ!!」


メンバー達は真っ青な光に視界を支配され、他には何も見えない状態に陥ってしまった。
更にそんなメンバー達に見えない何かが攻撃を仕掛けてきたのだ。
立て続けに身体が斬りつけられる。殴りつけられる。焼かれ、感電し、凍て付いてゆく感触。
マリオが最後に仕掛けてきた、一帯を火炎地獄にする技とはまた違う、・・・恐ろしい攻撃だ。


マスターハンド「はっ、はははっ・・・ははははッ。どうだッ・・・これが、私の・・・『創り出す力』だっ・・・!」


衰弱し切ったマスターハンドの声と共に、全てを覆っていた青い光が消えてゆく。
青い光の無くなった終点には、大量に真っ赤な液体が飛び散っている。
・・・それは、紛れもなく、血だ。・・・何故、外傷はつかないはずなのに、血が?
誰しもがそう考えた。しかし、それを否定する様に彼等身体には無数の傷がついていた。
流れ出た血はその傷からなのだろう。そして更にメンバー達を驚かせるものがステージ上にあった。


ナナ「・・・何・・・・これ・・・・」
ポポ「ビームソード・・・ハンマー、スターロッド・・・ただのナイフや剣まで・・・?!」


視界に飛び込んできたのは血溜まりの中に沈む無数のアイテム。
アイテムだけに限らず、外の世界の物までもが転がっていた。
何が起こったのか?その疑問はマスターハンドの言い放った言葉から容易に推測できた。
この現象は、彼の言う『創り出す力』だ。戦う前に「使役する力は創造力」などと言っていた。
初めは何の事なのか良くは分からなかったが、つまりこういう事だ。
マスターハンドが自ら持っていると言った力──創り出す力で、
目の前に散らばっている無数のアイテムを一度に創り出し、メンバー達に襲い掛からせたのだ。
あの時の青い光は恐らく、物を創り出す時に生じるものなのだろう。


マスターハンド「くくっ、ふくははは・・・・はぁっ、はぁッ・・・ははは・・・や、はりッ・・・・・
        元々、戦闘用能力ではない創造力を、攻撃に転化させるというのは・・・・・なかなか、応えるものの様だッ・・・・」
フォックス「・・・・何・・・?」
マスターハンド「ふん・・・私は戦闘向きではないという事だ・・・・。
        例えば、創造力を発動させる前に、ほぼ瞬間的に行った・・・この空間の内部に適用される、
        蓄積ダメージ変換の機能を落とす様な芸当ならば、私向きの作業なのだがなぁ・・・!」
リンク「──そういう事ですか。この空間ではまず有り得ないはずの外傷、その理由が」


マスターハンドが不敵に笑い声を上げながら自白した言葉に、
焼け爛れた右腕を押さえながら、言いながらリンクが一歩、前へ進む。


マスターハンド「そう、私の本来の得意分野・・・と言うわけだ」


リンクの言葉をマスターハンドが紡ぐ。
・・・心なしか、その言葉はどこか哀しそうに聞こえた。


クッパ「・・・貴様の言う創造力とやらに・・・」
ネス「その機能を管理する、誰もが触れる事さえかなわなかったメインコンピューターへの干渉さえも成し遂げる」
フォックス「そしてその得体の知れない姿。挙句の果てには指からミサイルまで発射する・・・お前は一体何者なんだ?」
マスターハンド「・・・・・・『創り出す者』、だ!」


彼の様子に気づくはずも無いメンバー達の問いに。
数秒間の空白の後、力強く、そしてどこか寂しげに──マスターハンドが言い放つ。
不意にメンバー達の頭上に青い光が収束する。即座にバラバラに散ろうとするも、遅かった。
光は爆発し、飛散する。そこからいくつものボム兵が、まるで雨の様に降り注いできた。


マスターハンド「くくくッ・・・シールドでも張ったらどうだ?
        ここは腐っても乱闘用のステージなのだぞ、まだシールドぐらいは使える」
マルス「その手には乗らないよ。こんな状況でシールドなんか張ったら、あっという間にブレイクしてしまう・・・っ!」
マスターハンド「そうか。・・・・・ならばおとなしく死ねいッ!!」
ネス「死ぬわけには行かないッ・・・!」


ネスが言い放ったと同時に、降り注いできていた無数のボム兵達がその場で──、空中で、一斉に静止した。
それにマスターハンドは驚愕し、言葉を失った。他のメンバー達も同様だった。
一斉にネスへ視線が集まるも、その瞬間謎が解ける。ネスが両手を掲げ、PSIでボム兵達を空中に留まらせていたのだ。


ネス「全部、お返しするよ・・・!」
マスターハンド「ぬぅう・・・ぉおおおおっ!!」


言いながら、ネスが掲げた両手を前方へ振るう。
彼のPSIに操作され、無数のボム兵達が一斉にマスターハンド目掛けて飛んでゆく。
その巨体で、大量のボム兵達の突撃を完全にかわしきる事など、不可能だった。
次々とボム兵達がマスターハンドに激突し、爆発を起こしてゆく。
爆発が起こる度に、マスターハンドは幾重となく身体を震わせ、短く、大きな悲鳴を何度も上げる。
最後に投げつけられたボム兵は、マスターハンドの居た場所を通過し、そのままステージの外の空間へと消えていった。
・・・既にマスターハンドは滞空する事さえも出来ずに、ステージ上へと落ち、痙攣しながら床に這い蹲っていた。


マスターハンド「クッ・・・う、・・・がぁぁぁッ・・・・貴様・・・等ぁっ・・・
        よく・・・・、もッ・・・私を・・・この、私をおぉッ・・・・・!」
ルイージ「・・・自分で、ダメージ変換機能を解除したのが仇になった様だね?」
ゼルダ「今こそ、全てを終わらせる時です・・・・。マスターハンド。覚悟・・・!」


身体の所々に焼け焦げた跡の見られるマスターハンドをメンバー達が取り囲む。
憎しみに満ちた言葉を吐くマスターハンドに、ルイージとゼルダが代表して言い、一歩、マスターハンドに詰め寄った。
その時だった。


「──そう、俺達は全てを終わらせるんだ」
「「「っ!!?」」」
マスターハンド「そのッ・・・声はッ・・・・!?」


突如として響き渡る何者かの声。メンバー達全員が驚いて辺りを見回す。
そんな中、マスターハンドだけはまた違う驚きの様子をあらわにした。
・・・まるで、その声の持ち主の正体を知っているかの様に。


「兄貴、やぁっと力の充電が終わったから、応援に来てやったぜ。後はこいつ等を始末して『目的のもの』を奪い取るだけだよな?」
マスターハンド「・・・ああ、そうだ。やっと充電が終わったか・・・全く、お前は妙なタイミングで出てくるな。
        ・・・だが、お前さえ来れば。私が・・・我々が敗北する事はない。最強のコンビネーションが成立するからな・・・!」
ドンキー「おっ、お前ッ・・・!?何者だ!?」


姿を現したその声の正体が、マスターハンドと何か意味ありげな会話を交わす。
その様子を見て、悲鳴に近い叫び声でドンキーがマスターハンドと会話をしていた存在に問う。


「・・・俺の事か?・・・くくくッ、俺はなぁ・・・俺の名前は・・・!
 狂いし左手ェ・・・・クレイジーハンドだッ!!」


ドンキーの問いに答えた、クレイジーハンドと名乗る存在。
それは、真っ白な、左手袋の姿をしていた。


クレイジーハンド「更に言うとだ・・・俺は兄貴、マスターハンドの双子の弟だッ!
         俺の司る力は破壊力!『打ち壊す力』さぁ・・・っ!!ひゃはははッ!!」
ポポ「双子の・・・弟だって・・・!?」
ガノンドロフ「・・・打ち壊す・・・力・・・・」


狂ったように叫び、笑い声を上げる巨大な左手袋。
呆然とするスマッシュブラザーズの前で、ゆっくりとマスターハンドが宙に浮き上がる。


マスターハンド「・・・創り出す力──創造力と、打ち壊す力──破壊力。
        それら二つの力をそれぞれ持つ私達が合わされば、どうなるか?」
クレイジーハンド「一瞬でお前等全員、殺しちまえるぜ。
         だが、そうする前に、目的のものを宿す奴をいぶり出してやるよ」


言い放った後、両手が同時に耳が痛くなる程に野太い笑い声を上げた。
ほとんどのメンバーが状況をうまく掴めていない中、容赦なくマスターハンドとクレイジーハンドが、戦闘態勢に入る・・・!




続く




音楽提供:VGMusic





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