マリオ「はははっ・・・これが、俺達の連携攻撃の力さ」
子供リンク「一人の時はやられてなかったっけ?」
マリオ「うるさい、あれは多勢に無勢だ」


立ち上がれない一行を見下ろし、軽口を叩きつつも六人全員を、
容赦なく場外にしようと構えるマリオ達に、誰もが少なからず恐怖心を抱いただろう。
終点の奥で、マスターハンドの高笑いが響き渡る。マリオ達に全く敵わない一行を、嘲笑うように。
それによって、恐怖心を怒りへ転じた六人が次々と立ち上がる。そして、マリオ達三人を超えて──、マスターハンドを睨みつける。


ドンキー「俺達は、マスターハンド・・・お前を倒す。だから・・・お前等に構ってる暇なんざねえんだよ、マリオ・・・!」 
マリオ「俺達の足元にも及ばないお前達が、マスターハンド様を倒すだと?・・・いい加減、寝言は寝て言うようにしやがりなぁ!!」
子供リンク「そうだよ、そんなセリフ、まずは僕達を倒してから言うんだねぇ!ま、無理に決まってるけどさぁー?」
ヨッシー「さあ、そろそろ終わりにしましょう。貴方達が場外にさえなれば、後は他の方々に秒殺されるのですから・・・」
マスターハンド「くくくッ・・・はぁーっはっはっはっはっ!!宴の余興だぁ・・・・! せいぜい、私を楽しませてみるが良い・・・!!」


嘲笑する四人を見据え、再び六人は床を蹴って駆け出した。
深い信念の込められた六人の視線に射抜かれ、マスターハンド達も揃って笑うのを止め、
向かって来る元、スマッシュブラザーズのメンバー達を睨みつける。





  十九話 仲間 





ルイージ「うぉおおおおおおお!!!」
ドンキー「おらああぁぁああっ!!」
マリオ「ちっ。小賢しい・・・!」


叫びながらルイージが、実の兄であるマリオに飛び掛った。交えられた拳と拳が互いに弾かれ、
マリオは一歩下がり、ルイージは空中でバック転しながら後方へと着地する。
そのルイージを飛び越えて、ドンキーが第二撃をマリオに叩き込む。
無防備な状態だったマリオにラリアットが決まり、勢い良く吹っ飛ばされる。


マリオ「ぐ、う・・・・! くそがっ!」
ヨッシー「ここは任せてください、マリオさん!」


倒れこんだマリオの脇から飛び出していったのはヨッシー。
走りながら小さく跳ね跳び、瞬間的に全身を緑の水玉模様の大きなタマゴで覆い、タマゴ状態のまま一行目掛け転がっていく。
狙われたルイージとドンキーが互いに別々の方向へと飛び退いてヨッシーの突進を回避する。
標的を通り過ぎたヨッシーは転がりながらも急カーブをかけ、今度は背後から突進を仕掛ける。
しかしヨッシーの猛攻撃もそう長くは続かない。ヨッシーの前へ躍り出たクッパが迫り来るタマゴ目掛け火炎を吐き出したのだ。
タマゴの外からの攻撃でも中のヨッシーには十分なダメージを与えた。タマゴが砕け散り炎の中を無数の破片が舞い落ちる。
そしてタマゴの中に居たヨッシーが舌打ちしながら素早く後退し、高く跳躍してクッパを飛び越えてマリオの元へと戻ってゆく。


ヨッシー「やはり無理です、マリオさん」
マリオ「おいコラ待てい、さっきまでの威勢はどうした」
ヨッシー「どうします?やはり、ここは先程の連携で」
子供リンク「賛成。アイツ等今固まってるから、一人ずつ飛び込んでっても勝てるはずないよ」


マリオの突っ込みを無視しての短い打ち合わせ。
子供リンクがヨッシーの背に飛び乗り、それに習って少し渋々した様子でマリオも飛び乗ると、
距離を一気に開けるため、ヨッシーが再び高く跳躍して向かってきた六人を飛び越して、
彼等のはるか背後へと着地し、立ち止まった六人を振り返る。


マリオ「うぉおおおおおッ!!」
子供リンク「はぁあああっ!!」
ドンキー「くっ・・・!」


彼等三人の織り成す強力な連携攻撃が雄叫びと共に開始される。
ヨッシーが一行に急接近し、その間にマリオと子供リンクが火の玉と火を灯した矢を乱れ撃つ。
瞬く間に辺り一面が真っ赤に染まり、燃え盛る紅蓮の炎が踊り狂う。


ヨッシー「行きますよぉッ!!」


ダメージ覚悟で炎の渦の中に突っ込んでくるヨッシー。
炎に突っ込む寸前にマリオと子供リンクが飛び降りて、各自他の者へと攻撃を仕掛ける。
炎を纏ったヨッシーの体当たりの矛先は、今度はクッパに向けられた。


クッパ「ぬぐぉあっ!!」
ヨッシー「まだ終わりではないですよっ!!」


吹っ飛んだクッパを見据えたヨッシーがタマゴの中に閉じこもり、勢い良く炎の中を転がってゆく。
ルイージとドンキーを吹っ飛ばしたマリオと子供リンクが暴れ回るタマゴを跳躍して飛び越え、
一行を包み込む炎の中から脱出しようとした、その時だった。
突然、子供リンクの足に何かが引っかかって、思い切りうつ伏せに子供リンクが転倒したのだ。


マリオ「おい、何やってんだよ!?」
子供リンク「何かが足に引っかかったんだ!この・・・白い、ゴムみたいな──ゴム?」


右足に引っかかっていた白いゴムは、彼の目線から見て右と左から引っ張られていて、
まるで何かの罠かのように見えた。──いや、罠だった。
そのゴムの両端を引っ張って、罠を作り出していた者達の掛け声が子供リンクの両脇から上がる。


ポポ「ったぁああ!!」
ナナ「えぇーいっ!!」
子供リンク「うぐぁああああッ!!?」


両脇からハンマーで殴りつけられた子供リンクが悲鳴を上げる。
外傷はないとはいえ、痛みは感じるようになっているこの世界で、子供リンクが思わず膝をついてしまったのも無理はない。
しかしそれが隙となり、再びアイスクライマーの二人がハンマーで子供リンクを殴り飛ばす。
炎の中に吹っ飛んでいった子供リンクが、更に悲鳴を炎の中から張り上げる。
気づけば、マリオとヨッシーは炎の渦の中から抜け出し、既にマリオはヨッシーの背中にまたがっていた。


クッパ「まだ・・・やる気か・・・!」
マリオ「当たり前だろ。俺達はマスターハンド様を守り切る。例え、仲間が次々に死に行こうがなぁ・・・・!」
ヨッシー「まぁ、今の所は私達の中では誰も死んでませんけどね」
子供リンク「あははははぁっ!!」
アイスクライマー「「!!!」」


六人全員がマリオとヨッシーに注目していた隙を見逃さず、
炎の中から笑声を上げながら子供リンクが飛び出してきた。
子供リンクは素早く炎を纏わせた剣を二度振るい、ルイージを連続で斬り付ける。
そこにマリオを乗せたヨッシーが全力疾走で突進してくる。


マリオ「喰らいなぁっ!!」
ヨッシー「はぁぁぁぁっ!!」


駆けながらヨッシーの掲げたタマゴにマリオが炎を灯す。
燃え盛るタマゴが一行目掛け投げつけられる。それが床に着弾した瞬間、
水玉模様のタマゴは破裂し、全てが炎を纏いてタマゴの破片が舞い落ちる。
そして、怯んだ一行を思い切り子供リンクが横一線に斬り飛ばした。


ヨッシー「だぁあああああっ!!」
ドンキー「ぐぉぁああッ!?」


バラバラに散った六人の内の一人、ドンキーにヨッシーが体当たりを仕掛ける。
吹っ飛んだドンキーに追い討ちを叩き込もうとしたマリオがヨッシーの背から跳躍した。
それでも、マリオの拳が宙を舞うドンキーを撃つ事はなかった。
突如としてマリオの頭上に出現した雷雲から、稲妻が降り注ぎマリオを貫いたのだ。


マリオ「ぐっ、あぁっ・・・!?」
ピチュー「もう、これ以上は攻めさせないから・・・!」
子供リンク「がぁッ!」


ピチューの言葉と同時に、隙を見出された子供リンクがクッパに殴り飛ばされる。
身体を感電させながら床に叩きつけられたマリオがぐぅ、と呻き声を上げる。
先程吹っ飛ばしたドンキーが目の前に着地するのを見やって、瞬時にヨッシーは劣勢を悟る。
思い切り振るわれたドンキーの豪腕をその場から飛び退いて回避し、そのまま彼との距離を開ける。


ヨッシー「(不味いですね。このままでは我々の計画が・・・)」
ドンキー「うおおおぉらああッ!!」
ヨッシー「くっ!」


何とか立ち上がったマリオにピチューの電撃が浴びせかけられ、再びマリオが床に崩れ落ちる。
怒り狂う子供リンクの前に立ち塞がったのはクッパとルイージ。ヨッシーの前方にはドンキーとアイスクライマー。
逆転されつつある戦況にヨッシーが舌打ちした直後に、ドンキーが床を蹴ってヨッシーに飛び掛ってくる。
我に返ったヨッシーが瞬時に緊急回避でドンキーの攻撃をやり過ごす。
しかし、すぐにヨッシーの視界にアイスクライマーの二人の姿が飛び込んでくる。


アイスクライマー「「たぁああああッ!!」」
ヨッシー「ぐっ──ぁああわぁああああッ!!?」


二つのハンマーに同時に殴り飛ばされたヨッシーが、
悲鳴を上げながら凄まじい勢いで吹っ飛んでゆく。
何度もマリオ達の生み出した炎を突き破り、自爆覚悟の体当たりを仕掛けてきていたヨッシーに蓄積されていたダメージは、
他の二人に比べ、遥かに多かった。結果、アイスクライマーの一撃でヨッシーは抵抗さえ出来ずに、場外となっていった。


マリオ「ちぃっ・・・!」
子供リンク「くっ、そぉおおぉお!!」
マスターハンド「・・・・・・・ほう」


舌打ちしつつ、マリオは仲間の手柄に喜んでいたピチューを蹴り飛ばしてその場から離脱。
子供リンクは怒りをあらわにし、怒声を上げ、剣を振り回しながらクッパとルイージの間を駆け抜ける。
感嘆のため息を漏らすまでずっと沈黙したまま戦いを眺めていたマスターハンドの両脇へと、
合流したマリオと子供リンクの二人が駆けていった。


子供リンク「マスターハンド様は・・・僕達が守りきるッ!」
マリオ「それに・・・すぐにヨッシーは戻ってくるさ。それまでは俺達が、お前等の相手をしてやらァ!!」
マスターハンド「私も、暇潰しにでも参加してやるとするか・・・くく・・・くくくっ」
ドンキー「来るぞッ!!」


再び襲い来る二人に加え、マスターハンドが攻撃に参加。
拳を、剣を構えて駆けて来るマリオと子供リンクの間を豪速で通り抜け、拳を作ったマスターハンドが一行に突撃した。
その巨体による体当たりを避けきる事は出来ずに、六人が吹っ飛ばされ、高く宙を舞う。
六人を殴り飛ばしたマスターハンドはそのまま足場の外の空間へと突き進んで行き、
途中で進路を変更、マスターハンドが宙を舞う六人よりも高い位置へと移動し、手──否、身体を開いた。


マスターハンド「切り刻めぇッ!」
クッパ「ヌグゥァッ!!?」
ピチュー「痛ぁっ!!」
ルイージ「うわあああああ!!」


マスターハンドの親指を除いたそれぞれの指先から青白く、鋭利な光線が直線状に発射される。
四本の光線はマスターハンドの指が動かされる事によって、
直線状に放たれる光の軌道が度々変わり、落ちゆく六人の身体を巡るようにして斬り付けていく。


マリオ「行くぜぇえええ!!」
子供リンク「だぁああああッ!!」


ダメージの溜まった六人がステージに叩きつけられたと同時に、
マリオのスーパージャンプパンチが、立ち上がろうともがくルイージに追い討ちをかける。
子供リンクが繰り出した、凄まじい速度で剣を何度も突き出し相手を斬りつける剣技、
幻影斬りを喰らったクッパが、身体の所々に走る鋭い痛みに片膝を床についてしまう。


マスターハンド「さぁ・・・そろそろ遊びは終わりにしよう。お前達の終焉の時だ・・・」
ポポ「く・・・っ・・・」
ドンキー「くっそぉ・・・!」


戦闘にマスターハンドまでもが加わった今、彼等に勝機はない。
その圧倒的な力を改めて見せ付けられた今となっては、その思いも人一倍強くなってしまう。


子供リンク「ふふふっ・・・喜びなよ、やっと、君達はこの戦場から抜け出せるんだよ?」
マリオ「もっとも、あっちは今頃、地獄になっちまってるかもしれないけどなぁ!!」


絶望の色が入り混じった表情をつくる六人を嘲笑いながら、
再びマリオと子供リンクが、マスターハンドの両脇に立ち、攻撃するべく身構える。
構えた彼等が動き出そうとした瞬間、突如として、一行と、マスターハンド達の間に一つの柱が出現したのだ。


マリオ「・・・転移装置・・・ヨッシーが戻ってきたのか?」
「残念。違うよ」
子供リンク「───ッ!?」


転移装置の光の中から響いたのは誰もが予想していなかった者の声だった。
全員が呆気に取られた直後、光の中から飛び出してきた剣士が青いマントを翻して子供リンクを一閃。
ヨッシー程ではないが、かなりダメージの溜まっていた子供リンクは、
鋭い痛みに悲鳴を上げる間さえも与えられる事なく、勢い良くステージ外へ吹っ飛び、場外となる。


マリオ「な、・・・どういう事・・・だッ!?」
「こういう、事だぁッ!!」
マリオ「っぐぅうあッ!?」


いつの間にかマリオの背後に現れていた柱の光から、
赤い髪の毛を揺らしながら飛び掛ってきた少年が炎を纏った剣でマリオの背を斬り裂いた。
彼は吹っ飛んでいったマリオを見据え、次に振り返って、一瞬マスターハンドを睨みつけると、一行の元へと歩いていく。
剣士の様子に気づいたのか、マスターハンドが不敵に笑い声を漏らすと、二人の剣士に言い放つ。


マスターハンド「なるほど・・・マルス、ロイ。お前達も、私を裏切るというのか」
マルス「僕達は初めからお前のしもべじゃない。僕達を様々な負の感情で惑わし、自我を奪っていただけだ」
ロイ「・・・・ウォッチのおかげで、本当の僕自身の心を、感情を取り戻す事が出来た。
   他の皆も、じきに自分を取り戻して、お前を打ち倒す為に、ここに来るだろう・・・!」


マスターハンドに剣先を向け、二人の剣士が浪々と言い放つ。
彼等の言葉が、一行にとってどれだけ救いになっただろうか?
ウォッチの活躍で、他の仲間達が次々と、マルスやロイの様に自我を取り戻している。
絶望が希望へと変わり、呆然としていた六人が強い眼差しでマスターハンドを見据えた。


クッパ「・・・マスターハンド・・・今こそ貴様の非行の報い、受ける時なのだ・・・!」
ドンキー「ぶっ潰す・・・てめえの野望も、何もかも・・・!」
マスターハンド「くっ・・・くっくっく、はっはっはぁっ!愚か者どもめ!貴様等操り人形なぞに私が倒せるものかァッ!
        そしてッ!たかが操り人形の分際でぇっ!!私の野望などと、知った様な口を利くなッ!!
        ──マリオッ!殺れぇッ!!潰してしまえッ!!」


マスターハンドの叫び声が終点に木霊した瞬間、
一行の背後から強烈な熱気と共にマリオが襲い掛かってくる。
熱気を放っている正体は、マリオの両手に集中したおびただしい程の火炎。


マリオ「死に晒せぇぇッ!!!マリオファイナル!!!」


赤と橙の閃光がマリオの両手からほとばしり、
掌から無数のファイアボールが解き放たれ、終点を炎で埋め尽くしてゆく。
今までマリオと大乱闘をしてきて、誰もが見た事もない、マリオの新たな技だった。
外傷はない。だが痛みはある。抗う事など出来ない業火に骨の髄までを焼き尽くされる感触。
何人もの痛々しい、断末魔とも取れる悲鳴が、燃え盛る終点を飛び交った。
不敵な笑みを浮かべたマリオの顔が揺らめく炎に不気味に照らし出される。


マスターハンド「死ぬ事の出来ない世界で、死を超越した苦しみを味わう制裁・・・
        私にたてつく愚か者は皆こうなるのだ・・・くくく、はっはっは・・・ふはぁーーっはっはっはっはっはぁ!!!」


炎の影響を受けない位置を滞空するマスターハンドが、狂ったように笑い声を上げ続けていた。






続く



音楽提供:FUSION WORLD





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