矛盾、裏切り、殺人。


  矛盾しかないこの世界で、


  仲間を裏切り、


  殺人を犯す。


  何が悪い?何が悪い?


  どうせ、正義も悪も、法律もないこの世界。


  元々戦う為に生まれた俺達は、


  創られた世界に騙されつつも、


  お互いに助け合い、生き延びてきた。


  だが、それももう終わり。

 
  生きるもの全てが真実を知れば・・・


  そんなことをする気力も失せるだろう。


  なのに何で、あいつらは・・・


  希望を持って 進み続けるのだろう?











  第十一話  歪む憎しみ、激しき怒り










「お前等、バカじゃねえのか?」
マルス「ぐっ・・・・うっ・・・・・・?!」


突然の事だった。三人の背後で倒れていたファルコがカービィとネスの間を駆け抜けマルスにとび蹴りを喰らわせたのだ。
呻き声を上げながらマルスがドンキーの傍らに崩れ落ちる。カービィとネスは呆然とその光景を見つめる事しか出来なかった。


ファルコ「俺等にとどめもささねえで、後からなぶり殺してやるだと?
     ──俺等が、そんなもん承諾してみすみすとなぶり殺されてやるとでも思ってんのか?」
マルス「き・・・さまっ、よく・・・もっ!?」


立ち上がろうとしたマルスの額に蹴りが入る。
気を失ったマルスから視線をはずし、後方に立ち尽くす二人へ彼は言葉を投げかける。


ファルコ「知ったような口ばっか利きやがって・・・確かに俺等はかつての仲間達を死へ追いやった、
     それは決して許される事のない行為だ・・・だが考えても見ろよ。さっきポポが言ったように、
     俺等はお前等が襲ってきたから正当防衛として戦い抜いてきたんだ。
     そりゃ自分達の命惜しさに戦ってたかもしれないさ、でもよ、当然の事だろ?命が惜しい、なんてよ」
ネス「結局君達の言い分は変わってないじゃないか、僕が言った様に君達が殺戮を繰り返す危険分子だから──」
ファルコ「お前等は仲間が危険分子だからと勝手に決めつけ、そして俺等を殺そうとしたんだろう!?
     だったら俺等もお前等も同じだろうが!!」
カービィ「っ・・・・・・!」
ネス「こっ・・・のぉ!!」


言葉に詰まった二人がファルコに襲い掛かる。
軽くため息をつきながら、ファルコは襲い来る二人目掛け走り出した。


ファルコ「ハッ!!」
カービィ「うわああッ!」


再び繰り出したとび蹴りがカービィの顔面に命中、身体の軽いカービィは一気に吹っ飛んで壁に激突した。
それを横目に、ネスが舌打ちしながら両手にPSIを込めて着地したファルコに突進してくる。


ネス「PKハンドスタンプ!!」
ファルコ「あたらねえよッ!」
ネス「な・・・っ!?」


身をひるがえしての緊急回避でネスの掌低を避けるファルコ。
攻撃を避けられて隙を晒したネスに、容赦なくファルコのテイルカッターが炸裂し、右腕に一閃の傷が残る。
尾羽で相手の身を切り刻むその技はネスの利き腕を傷つけた事により、バット等による近距離攻撃を不可能にさせた。


カービィ「でぇーいいっ!!」
ファルコ「ッ!」


攻撃した直後のファルコに巨大なカッターを両手で構えたカービィが飛び掛ってきた。
即座に身を引きそれを避ける。そのままブラスターを抜き、銃口をカービィに定めトリガーを強く引く。
撃ち出された光線はカービィの額に命中した。桃色の肌を焼き焦がし、
カービィが苦悶の声をあげる・・・と、思ったファルコが驚愕した。カービィがファルコを切り裂こうとしたが、
回避された為に床に打ち付けられたカッターから、青白い衝撃波がファルコ目掛け一直線に走ってきたのだ。


カービィ「僕の技の中で、唯一の飛び道具なんだよ、ファイナルカッターはね・・・・・もう忘れちゃったの?」
ファルコ「ぐああああああッ!!」


まるで刃のように鋭利な衝撃波がファルコを強く斬りつける。
のみならず、その勢いに押されてファルコは悲鳴を上げながら大きく吹っ飛ばされた。


ネス「二度とそのむかつく口が利けないようにしてやるッ。PKフラッシュ・・・!」
「させないっ・・・!ファイアッ、ジャンプパァーンチッ!!」
カービィ「───!?」
ネス「うわぁぁああああぁああ!!?」


ネスの身体から放出された巨大な緑の光がファルコへ近づいてゆく。
相手の間近で光を爆発させて吹っ飛ばすというPSIの一種だ。
しかし、光は爆発することなくファルコを目前にして掻き消された。
背後からの叩き上げる様な不意打ちによって術者であるネスが打ち飛ばされたのだ。
真上へ飛ばされたネスは天井に激突して、攻撃を喰らった場所から大きく離れた所へと落ちてゆく。
彼を打ち飛ばした技、ファイアジャンプパンチ・・・・。それは、紛れもなくルイージの必殺技。
火炎を纏ったジャンプパンチで相手に多大なダメージを与える、強力な技であった。


ファルコ「やっと起きたか・・・ルイージ」
ルイージ「ごめん、遅くなっちゃって」
ファルコ「いや、まだ早い方だ。ドンキー、俺、お前・・・三番乗りだからな」
カービィ「こらこら、僕を無視してお話なんかしないの」
ルイージ「うわっ・・・と!」


思い切り振るわれたカッターが風を切る。
素早くルイージは跳躍して空中でバック転をしながらカービィの後方へ着地する。
ファルコとルイージに挟み込まれたカービィは笑みを浮かべながら再びカッターを構えた。


ファルコ「ついさっきまで俺に言い返せずに冷静さを失ってたくせに、えらく余裕が出てきたな?」
カービィ「僕は理屈とかを語る様なキャラじゃないからね。
     単純に戦うだけなら僕は強いし、そーゆう理屈とかは大体マルスかネスに任せてる。
     さっき言い返せなかったのは、マルスが欠けてて僕達の平均国語能力が低くくなってたからだよ、きっと」
ルイージ「は、話が読めないよ・・・?」
カービィ「さぁ、かかってきなよ。僕はそう簡単には倒せないよ?」


ルイージを無視してカービィが言い放つ。
それに乗ったファルコが前かがみになった、次の瞬間その場からファルコの姿は消失していた。
代わりに、カービィのすぐ隣にファルコが移動していた。ファルコビジョンによる瞬間移動である。


ファルコ「ハァッ!!」
カービィ「おっと!そんな攻撃当たらないよ〜だ!」
ファルコ「くッ・・・、ルイージ!」


素早くサマーソルトキックを繰り出したファルコだったが、標的であるカービィに後ろへ転がられて回避されてしまう。
しかし、直後のファルコの合図にルイージが床を蹴り、勢い良く頭からカービィへ突っ込んでゆく!


ルイージ「いっけぇええええええええッ!!!」
カービィ「そんな足掻きがこの僕に通用するとでも!?」
ファルコ「当然だ」
カービィ「がフゥあッ!!?」


ルイージの捨て身の攻撃をまたしてもひらりと避けながらカービィが言い放つが、
次の瞬間、彼の脳天に強烈なファルコのかかと落としがきまった。
ふらりとゆらめいた彼にもう一度攻撃を叩き込もうとしたファルコだったが、
予想外の速さで体勢を立て直したカービィがカッターを振るってきた為追撃は断念した。
にやり、と口元に笑みを浮かべるカービィにルイージが脇から殴りかかる。
それも空しく軽くカッターで攻撃を受けながされ、ルイージの腹部にカービィの蹴りが減り込む。
かはっ、と吐血しながらルイージが吹き飛び、一行が通ってきた扉の位置する壁に強く叩きつけられる。
床に落ちたルイージの傍らには、壊れたマイクが転がっていた。


ファルコ「オラァァアアアッ!!」
カービィ「危ないッ・・・・・っと!つっかま〜えた♪」
ファルコ「クッ・・・・!?」


突き出された鋭い蹴りはカービィに跳躍されて回避されてしまい、
更にファルコの背後へ回り込んで着地したカービィが振り返ったファルコに飛び掛って胸倉を短い両手で掴む。
そしてカービィはギリギリ床に届いた赤い両足で強く床を蹴り、
ファルコを掴んだまま後方へ宙返り、カービィの後ろ投げ技でファルコを思い切り後ろの床に叩き付けた。


ファルコ「ぐっ、ぁ・・・・!」
カービィ「ぁはははははは!!どうだい、僕の力ァッ!!
     君達なんかじゃ到底僕には及ばないんだよねぇ〜っ!!」
「──グゥォオオオオオオオ!!!」
カービィ「ッ!?んぐギャぁあああアァアッ!!?」


力なく横たわるファルコを見下しながら嘲笑うカービィの顔面に、突如として飛んだ強烈な裏拳が炸裂する!
ただでさえ軽いカービィは、豪腕から繰り出された裏拳によって凄まじい勢いで吹っ飛んで行き、
壁に埋め込まれた数々のモニターの内の一つに突っ込んだ。画面は砕け散り、漏電した電気に感電し、
身体を焼かれるカービィに、更に一筋の稲妻が降り注ぐ。
カービィは痛々しい悲鳴を上げながら無数の画面の破片と共に床に落ちていった。


ファルコ「く・・・クッパ、ピチュー・・・!」
クッパ「スマンな。目覚めるのが遅かったのだ」
ファルコ「ルイージと同じようなこと言いやがって・・・」
ピチュー「でも、タイミング的には良かったでしょ?」
カービィ「う・・・・ぐ、くそぉぉ・・・ッ!この僕を・・・なめ、やがっ・・・・───っ」


全身が焼け焦げ、画面の破片によっていくつもの切り傷を刻んだカービィがカッターを支えに立ち上がる。
もはや彼の両目の焦点は一箇所に定まらず、正気を失っている。・・・いや、元々正気ではなかったか──。
そう思った矢先に、突然カービィが支えのカッターからずり落ち、再び床に横たわった。・・・身体中を巡る激痛に、気を失ったようだ。
不意に、何かが崩れる音がした。音のした方向を見ると、そこは先程カービィが突っ込んだモニター。
もはや画面は粉々に砕け散ったモニターの枠が壁から外れ、ガラガラと大きな音をたてながら、
枠の周りを固めていた壁の瓦礫と共に床へと落ちる。大きな残骸が落下するその場所には、カービィが倒れている。


ファルコ「・・・・・・!!」
クッパ「しまっ・・・──!?」
ピチュー「カービィっ!!?」


彼等が全力でカービィの元へ走ったとしても、恐らく間に合わなかっただろう。
巨大な残骸は、小さな身体の命を、完全に押し潰してしまっていた。


・・・その数秒後、部屋の奥で何者かがおもむろに立ち上がった。
すらりと長く鋭い剣を構えたマルスの血塗れの顔は、怒りと憎しみに歪みきっていた。










続く



音楽提供:♪般若's MIDIの里♪





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