怖い・・・。


怖いよっ・・・。


助けて・・・誰かっ・・・・。


嫌だ、もっと生きたい・・・。


やりたいことが・・・沢山あるんだ・・・・。


死ぬわけには いかないんだよぉ・・・ッ!


嫌だ、死にたくない・・・。


嫌だっ、死にたくない・・・っ


嫌だ・・・嫌だ嫌だ嫌だッ!!!






  一話  回想







「ここまで・・・来れば・・・もう・・・。」
「はぁ・・・はぁッ、大丈夫だと・・・いいんだけど・・・」


今まで雨の中を走り続けてきていた七人がようやっと足を止める。
ずぶ濡れになった七人が警戒しながら辺りを見回し、誰も居ない事を確認すると、近くに生えていた樹木の下へと集う。


「どうするんだよ、これから・・・・・・」
「ううっ・・・兄・・・さん・・・無事かな・・・」


木の下へ来た事で若干、雨を凌ぐ事は出来たが、それでもまだ、彼等から熱を奪っていく雨は降り止まない。
力が抜けたように、七人がほぼ同時にその場にへたり込み、あるいはしゃがみ込むと、
彼等に追い討ちをかけるかのように突風が吹き荒れる。


巨大な身体に、トゲの生えた深緑色の甲羅を背負う亀の様な怪物、クッパ。
大柄で、首に赤いネクタイを巻いたゴリラ、ドンキーコング。
桃色の暖かそうな防寒服を着用し、木製のハンマーを手にした少女、ナナ。
パイロットの様な制服を着込み、腰に銃を提げる青い鳥、ファルコ。
青色の暖かそうな防寒服を着用し、木製のハンマーを手にした少年、ポポ。
黄色い体毛を生やし、両頬に赤い電気袋を持つ子ねずみポケモン、ピチュー。
緑色服に緑色の帽子をかぶり、オーバーオールで立派なヒゲとモミアゲを生やした男、ルイージ。


この七人が、現在木の下で休んでいる者達だ。
見れば、彼等の体の所々に傷跡があり、かなりの体力を消耗しているように見える。
他の仲間達──、逃げそびれた者達は、あの後どうなってしまったのかは誰も知らない・・・。
しかし、彼等の心の中は、絶望で塗り潰されている事には間違いない。
全て、彼等の表情が語っていた・・・逃げそびれた者の命はもう無いだろう、と。



ピチュー「・・・・・・・」
ポポ「ピチュー・・・大丈夫?」
ピチュー「う・・・・うん」


ポポの問いに彼は弱弱しく返すピチュー。
よほどショックだったのだろうか、それとも傷が痛むのだろうか・・・。
問いかけたポポもまた、罪悪感に苛まれる。
些細な事で心を痛めるほど、彼等は深い傷を、心身ともに受けていた。


ドンキー「本当に、どうするんだ、この後よぉ・・・」


悲しげに表情を歪ませたドンキーが小さく、力なく呟いた。
誰も答えは返さない。ただ、雨水を受けながら俯くばかり。
──もう、どうしようもない。
そんな考えが全員の頭の中をよぎる。そう考えるのもおかしくは無い。
数時間前、彼等にとって、恐ろしい事があったのだから・・・。





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いつも通りの生活を送っていた彼等の日常が打ち砕かれ始めたのは、
ほんの一瞬の出来事から始まった。競技場の壁が打ち砕かれ、
壁に大きく開いた壁から様々な、『敵』達が侵入してきたのだ。


「ふっはっはぁー!スマッシュブラザーズよ!今日こそ観念しやがれぃ!!」
「今日こそはお前等をぶっ飛ばしてやるぜ!!」
「ッは!懲りずにまた来たか、ぶっ飛ばされるのはてめぇ等だ!!」
「さっさと終わらせるぞ・・・眠い」


彼等は、各スマッシュブラザーズのメンバー達の世界に存在する、悪。
それらが集団でが闘技場を破壊して乱入してきた、そこまではいつもの事。
普段はすぐに終わらせて、壁などの修復作業に取り掛かるはずだった。


「うぁあああああああああ!!!?」


突如、後ろの部屋の方から響いてきた悲鳴が、臨戦態勢に入りかけていたメンバー達の表情を険しくさせた。
思えば全てがここから狂いだしたのだ。


「誰か、別に襲われたのか!?」
「くっ・・・ドンキー、クッパ!ここは・・・・頼むッ!」


メンバーの誰かが、力のあるクッパとドンキーに目の前の敵達を倒すように頼む声を上げる。
何故たった二人だけを残して、他のメンバー達が全員、その襲われた誰かの元へ行くような編成にしたのか。
スマッシュブラザーズは、個々がかなりの実力者。その中の誰かが助けを求めるような悲鳴を上げると言う事は、
メンバーを襲う何者かも相当な実力者である可能性が高い為だ。


ドンキー「よし、俺達に任せとけ!」
クッパ「ガハハハハ!我輩にかかればこんな奴等一瞬なのだ!」
ドンキー「今まで一瞬で倒せてなかっただろうが?」
「あ・・・あぁ、とにかく、頼むぞッ!すぐに戻る、
 俺等の誰かが悲鳴を上げる程強い相手だ・・・。少し遅くなるかもしれないけどな!」


・・・気づくべきだった。もう、後悔しても遅い。目の前の敵達と戦おうとしていた時点で、
既にスマッシュブラザーズのメンバーは全員揃っていたという事に。


「確かこの辺から悲鳴が聞こえたんだよな・・・」
「一体何が起こったのかしら・・・」


慌てつつもメンバー達が悲鳴のしたと思しき部屋を見回し始める。
数秒後、彼等の頭上から、突如として聞きなれない声が響き渡った。


「くくっ・・・ふふははは!まんまと騙されたな、スマッシュブラザーズ!!」
「ッ!!?」
「誰だ!!」


彼等の頭上へと、姿を現した正体不明の謎の存在。
それは、巨大で真っ白な、右手袋だった。
見た事もない敵にメンバー達は皆、愕然としていた。
表情の無い手袋は、直接メンバーの頭に響くような声で笑い声を張り上げた。


「あの軍団はただの囮だ・・・。そして、今の悲鳴は私の張り巡らせたただの罠だ!
 この競技場の大乱闘データに録音されていた、メンバーの誰かが吹っ飛ばされた時にあげた悲鳴の音声を利用してなぁ・・・!」
「な、何だとっ・・・・!!?」
「さぁ、貴様等は私の計画の邪魔になるのでな・・・消えてもらうとしようか・・・!!」


突然現れた真っ白な手袋。彼が攻撃を開始したとともに、
訳の分からないまま、メンバー達は手袋に総攻撃を仕掛けた。
しかし・・・・・・。


クッパとドンキーが敵を倒し、メンバー達の元へ駆けつけたときにはもう遅かった。
既にメンバー達はほとんど動くことも出来ない状態となっていた。
あの強い、英雄達が。勇者達が。全員が、血溜りの中に、ボロボロになって倒れていた。
その上を、嘲笑いながら浮遊する手袋が、二人の目に入る。
見た感じはあまり強そうには見えない敵だった。
なのに、その敵を前にして、メンバー達は瀕死の重傷を負って全員倒れ伏せている。
彼等の周りには、何故だか半透明の赤い破片が無数に散らばっていた。
クッパとドンキーが部屋に現れたのを確認した巨大手袋が再び大きな笑い声を上げると、
その人差し指を二人に向けて突き出し、言い放つ。


「くくくッ・・・!貴様等で・・・全員だなぁ・・・?」


気づけば、二人はとにかく近くに倒れていたメンバーを担ぎ、
その場から全力で逃げ出していた。ただ、がむしゃらに通路を走っていった。
途中で、開いたままであったアイテム倉庫に死にそうなメンバー達を救い出そうと回復アイテムをかき集めた様な気もする。
二人は半ば混乱した頭のままで、全速力で競技場から脱出し、降り注ぐ雨水の中を駆けて行った。


「逃げるか・・・だが、それも長くは続くまい・・・くっ・・・くく、はぁーっはっはっはっ!」


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あの手袋と対峙した時を思い出すだけで震えが止まらない。
もし奴が追いかけてきたら。そう考えると、恐怖する。
クッパもドンキーも、担ぎ出したメンバーから、
一体どのような戦いを行ったのか、等とは、恐ろしくて聞く事も出来なかった。
いや、例え二人が聞いたとしても彼等は恐怖心に縛られ、
その時の事を思い出す事さえを脳内で拒んでしてしまうのだろう。
それ程までに、彼等はただただ恐怖していた。


ルイージ「・・・とにかくどこか、まともに休める所・・・探そうよ」
クッパ「そうだな・・・そろそろ限界なのだ・・・・・」
ファルコ「・・・・・・。」


弱弱しい提案に、彼等は再び立ち上がり、豪雨の中、どこか休む事の出来る場所を探し始めた・・・。





続く






音楽提供:タクミドットネット

 






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